犬の上手な飼い方③
性質のよい犬にするために
犬も基本的には人間と同じです。仔犬は4週の初めにかけて、人間に対し接近したり、尾を振ったり、吠えたり、後について来たりしはじめるものです。
この動作は同腹の仔犬に対しても同じことで、体の発育に応じて日に日に珍しいしぐさや、違った遊戯が認められるようになります。
このような行動は新生子と呼ばれる段階から成長し、幼児期に入り社会化と呼ばれる大切な時期が始まったことを告げるものです。
仔犬はこの時期に犬の仲間や人間に対して社会的関係を確立することになり、4~12週齢がその時期にあたっています。
ふつうは4~5週齢までの間に知覚および運動能力が発達し、行動パターンの発生、学習能力の発達の基礎が固められるのです。
4~12週齢の時期は社会化の臨界期といわれ、この時期の社会的経験が将来の行動に大きく影響し、その犬の一生を支配する最も重要な時期となります。
ここにおもしろい実験結果があります。いくつかあげてみることにしましょう。
子犬を最初の12週齢の間、人間にまったく近づけないとします。
そういう仔犬は、通常人間との社会化をさせることは不可能だといわれています。
すなわち、知らないものを極度に恐れ、咬む犬になってしまうのです。
同じ例として少し極端ですが大きなケンネルで12~16週齢になるまで人間との接触があまりない犬は、人間に対する社会化がうまくいかないことになります。
また一方、仔犬を3週半齢で同腹の仲間から離して人間だけに接触させるようにすると、12週齢時には犬に対して非社会的になり、犬を仲間と見なくなってしまいます。
こういう犬は、しばしば繁殖に適さなかったり、飼い主に対して性行動を示したりしやすくなります。
このような理由で、仔犬を飼う適期は6~10週齢だということがいえます。
よくかわいがられていた仔犬でも、その後、多くの人との接触が少なくなった場合、6ヶ月齢にもなるとしばしば過度に臆病になったりして扱いが難しくなります。注意してください。
手入れ
ブラッシング、入浴、爪切り、トリミングなど、行き届いた手入れはイヌの健康を維持し、美しさを保つのに不可欠です。
〈ブラッシング〉
ブラッシングは、犬種にあったブラシで運動の後に行います。
まず、毛並みに逆らって行いゴミを浮かし、次に毛並みにそってゴミや抜け毛を取ります。
〈コーミング〉
長毛種ではクシでごみを取り、毛並みを整え、もつれた毛をとき、抜け毛を除きます。
くしは体の下からかけ始めて上へ上がっていきます。
〈シャンプー〉
まず、シャンプーの前に、爪切り、目薬、耳栓、肛門腺絞りを行う。
シャンプーには犬用シャンプーを使用し、刺激のあるものや、よく落ちすぎる洗剤は避けてください。
目や耳に入ったらじゅうぶんに水洗いして洗剤が残らないようにしてください。
シャンプー後、もう一度、目薬、耳の掃除を行ってください。
【シャンプーの順序】
①シャンプー前に軽い運動をして、排便排尿をさせる
②ブラッシング、コーミングによって抜け毛を除去する
③下洗い
④肛門腺をしぼる
⑤シャンプー(10分間)
⑥じゅうぶんにすすぐ。
⑦コンディショナーをつけて全身をよくマッサージする(10分間)
⑧タオルで水気をとる(長毛種ではおさえるようにして)
⑨ブラシなどでとかしながらドライヤーで乾燥
⑩長毛種ではくしを使って仕上げる
また、シャンプーの回数ですが、月に2回が理想です。
しかし、飼育環境、皮膚の状態を考えて、その間隔については、主治医と相談されることがよいと思います。
〈セッティング〉
小型長毛種では美しい被毛を保つために、コンディショナーをスプレーしてとかし、セットペーパーで束ねて毛がもつれないようにします。
〈トリミング〉
その犬をより美しく見せるために毛をカットします。
大切なことはその犬種の標準をよく理解し、もっとも望ましい体型にカットすることですが、これはトリマーの仕事です。
耳の手入れ
においの激しい犬では耳の中に、黒褐色の粘性の分泌物があったり、炎症を起こして化膿していたり、また、耳ダニの寄生も多いものです。
耳は時々見て(1週間に1回くらい)中の毛を抜き、清潔にし、いつも乾燥させておきましょう。
特に垂れ耳の犬は注意して、上記のような異常があれば、ただちに病院でご相談ください。
歯の手入れ(デンタルケアー)
歯は定期的に獣医師に診察してもらいましょう。
歯石をそのままにしておくと口臭が強くなり、歯肉炎、歯槽膿漏、歯根炎と進み、歯が抜けてしまったり、いろいろな病気のもとになりかねません。
腎臓や心臓、さらに全身的に悪い影響を及ぼすこともまれではありません。毎日のデンタルケアーをおすすめします。
【ブラッシング方法】
①ブラッシング
②なめるタイプの歯磨き(CET)→食後に1cmなめさせる
③咬んで食べるタイプの歯磨き(t/d)
爪の手入れ
爪が長すぎると、姿勢が悪くなったり、歩行が困難になることさえあります。
前肢の第1指の爪(後肢にもあることがある)が伸びすぎると肢にくいこんでしまうこともあります。
爪を切るときには血管を確認し、注意深く専用の爪切りで切ってください。
うまく切れないときは、病院や犬の美容院にお願いしましょう。