犬の上手な飼い方②

栄養

古くから、犬の生理学や栄養学が研究され、今日では、研究をもとに完全栄養食といえる製品がいろいろと供給されています。 例えば成長期の仔犬のための特別なフードや、厳しい寒さや狩猟などの厳しい使役のためのフードなどが、ドライタイプ、セミウェットタイプ(半生)、缶詰、人口乳、離乳食などの形で作られています。
それぞれの製品は犬の消化吸収能力と栄養成分のバランスと全体の必要量を考えて作られていることはいうまでもありません。
現在、すべてのドッグフードメーカーは犬に必要な栄養成分の基準として世界で最も権威のある、アメリカ科学アカデミー発表の“犬の栄養要求量”の報告書(日本語版-株式会社国立出版)にもとづいて、いかによいドッグフードを作るかで苦心しているわけです。 日本でもドッグフードや食餌療法用の処方食が普及してきました。

しかしまだ人と同じ食べ物を与えることが多く、栄養的に過剰であったり、欠乏していたり、また著しくバランスを失っていたりしている場合が少なくありません。
幼犬、老犬、病犬、酷暑や厳寒時、狩猟など厳しい運動時では、特に犬の生理をよく理解し栄養の過不足のないような食餌を考えなければなりません。
自家製の食餌を供与する場合は、近くの動物病院で相談するか、“犬の栄養要求量”を参考にしていただければ理想的です。

健康犬の自家製食餌のおおまかな目安を次に上げますので、この基準を守るように心がけてください。
①平均的な成犬の1日の維持量は大型犬で体重1kg当り80カロリー、小型犬では100カロリーです。
②カロリーは64%以内を炭水化物で、2%はたんぱく質で、11%は脂肪で取るとよい。
③成犬のたんぱく質の量は、体重1kg当り10gの肉類でよい(肉は20%前後のたんぱく質を含む)。
④発育中の場合は、カロリー、ビタミン、ミネラルも成犬量の2倍が必要となります。
⑤繁殖、授乳時は、成犬維持量の2倍以上。
⑥自家製食餌では、ビタミンA、B1、B2、B12、D、E、カルシウム、鉄、銅、コバルトなどが不足し、リン、マンガン、亜鉛、葉酸などが過剰になる傾向があります。中でもカルシウムとリンの比は1.2:1でこのバランスをいつも維持することがたいへん重要であり、成長期は特にカルシウムとビタミンDの過不足に気をつける必要があります。

しかし、これらの問題は、すべて良質のドッグフードを与えることで解決してしまうのです。
今までのところを要約しますと犬の栄養を理想的に供給するには完全食である工場製品のフードをそれぞれのタイプに合わせて利用することが一番です。
よくわからないときは動物病院でご相談ください。

運動

犬は飼い主と散歩することが大好きです。適度な運動は血液の循環をよくし、便通を促し、新陳代謝を盛んにし、食欲を増します。
心身ともに健康を保つためにはぜひ必要なものといえます。しかし放しての散歩などは、他の人にたいへん迷惑になりますのでやめたいものです。

運動の目安
【極小型犬】室内で自由に運動しているものでは必要ありませんが、活発でない犬は運動不足になるので、朝夕10~20分くらいずつ運動をさせます。
【小型犬】朝夕30分くらいずつ庭先へ放す程度の運動が必要です。
【中型犬】朝夕速歩で30~40分ずつの運動が必要です。無理な走り方でなければ、自転車運動もよいでしょう。
【大型犬】朝夕40~60分くらいずつみっちり運動させなければなりません。訓練士にお願いするのもよい方法です。
運動の時に訓練をするのもよいでしょう。

散歩の際は、引き綱を長くせずに、短くして、自分より先に進ませず、並行に(いっしょに)歩くこと“ヒールポジションで歩く”。 また、運動中に排便をしたら、必ず飼い主が、紙、ビニールなどで始末するようにします。
棒やボールを投げて取ってこさせるなどは服従の訓練になり、また運動にもなります。
ただし、特別な訓練は、専門家(訓練士)を紹介してもらうのもよいと思います。

犬の上手な飼い方①を読む

犬の上手な飼い方③を読む

一覧へ戻る