犬の代表的な病気①
犬の代表的な病気
犬にも人間と同じくらいいろいろな病気があり、人間とよく似た病気や、犬特有の病気があります。その中で代表的な病気について簡単に要点をお話しましょう。
栄養性二次性上皮小体機能亢進症(俗にいうクル病)
子犬のかかりやすい骨の病気である栄養性二次性上皮小体機能亢進症(俗にいうクル病)。
四肢の骨や背骨が曲がったり、関節が腫れたり、運動を嫌がったり、重症になると歩行困難になったり、ちょっとしたことで折れたりする骨の病気です。
大切な点は、このようにひどくなる前に、なんとなく動きたがらない、原因不明の四肢の痛みなどがあれば、この病気を疑うことです。
原因は食餌の中のカルシウムとリンのバランスが悪い場合と、カルシウムの絶対量が不足する場合です。専門家は、食餌内容を聞くだけで、それとわかるのがふつうです。
幸いなことに正しい栄養のバランスのとれた食餌、すなわちドッグフードと犬用ミルクを与えることで予防ができますし、早ければ、ほとんどの例で完全に治ります。
伝染病
【ジステンパー】
ジステンパーは、ウイルスによって起こる伝染病で、下痢、嘔吐、高熱、咳、目やに、鼻汁などの症状を出します。
ウイルスによる病気ですから、免疫が完全でないと、いつでも、どこにいても、その伝染を受ける可能性があるわけで、特に仔犬、老犬、病気や手術後の犬などではより致命的です。
ワクチンを正しく接種することで、予防することができます。仔犬では、ふつう2ヶ月齢前後で1回目、3ヶ月齢過ぎに2回目、以後、毎年1回の追加接種をします。
ただし、2ヶ月齢以前でも母犬ゆずりの免疫(移行抗体)がない場合、流行地域の仔犬には、飼い始めたらただちに第1回目の接種、以後、2ヶ月齢、3ヶ月齢に接種します。
くわしいことは病院でご相談ください。
【犬伝染性肝炎】
ジステンパーについては比較的よく知られていますが、犬にもウイルスによって起こる、こわい肝炎があることをご存知ですか。
伝染性肝炎と呼ばれるこの病気は、ジステンパー同様、悪くすれば死を招くおそろしい代表的な伝染病のひとつです(人間にはうつりません)。
主な症状は、元気や食欲がなくなり、嘔吐し、急死するものさえあります。また、目が白くにごる(急性前ブドウ膜炎:ブルーアイ)という、特徴的な症状を示すものもあります。
病気の激しさも犬によってまちまちですが、一晩で死亡してしまうもの(仔犬ではこのケースが多い)、数週間も症状を示すもの、また、この病気にかかっていても、まったく外に症状を示さない場合もあります。
このような犬の場合、その尿からは、ウイルスが排泄されることになり、他の犬にも感染させますので注意が必要です。
この病気も、ジステンパーと同様、やっかいな伝染病であることがおわかりいただけたと思います。
しかし幸いなことに、30年以上も前から優れた予防ワクチンが使用されていますので、現在では比較的まれなものとなりつつあります。