猫の代表的な病気①

栄養性二次性上皮小体機能亢進症

仔猫の骨の病気に栄養性二次性上皮小体機能亢進症、俗にいうクル病というものがあります。
骨は、食餌中のカルシウムとリンのバランス(1.2:1)が保たれて、初めて正しく作られるのです。
このバランス(特にカルシウムの絶対量の不足)が悪い食餌で育った猫は、骨が軟らかくなり、曲がりやすくなり、しかも骨が折れやすく、背中や腰あるいは関節を痛がる、便秘しやすい、神経質などの症状があらわれてきます。 このような病気にさせないために、犬猫用のミルクを充分与えること、子猫用のドライのキャットフードではじめから飼うことです。
そして、できるかぎり余分に肉、魚肉を与えすぎないことです(肉にはリン30に対し、カルシウム1の割合で、カルシウムはほとんどありません)。 不幸にしてこの病気にかかった時でも、ほとんどの場合は助けることができますが、その場合も骨の変形や、骨折が決定的にならないうちに充分な治療を受けることが何より大切です。
この場合、一番重要なのは食事療法で、注射や飲み薬はこれを助けることに過ぎないのです。

猫伝染性腸炎(猫パルボ)

非常に感染力の強いウイルス病です。
猫から猫へ直接も感染し、ウイルスで汚染されたもの、ノミ、ハエからも感染します。
症状は、急激な発熱・嘔吐・下痢などで、脱水・昏睡状態になって死亡します。
仔猫は特に感染しやすく、死亡率は90%にも達します。
仔猫だけでなく、免疫を持たない成猫にも感染します。
発病した猫に対しては、二次的な細菌感染の解決のために、広範囲に効く抗生物質の注射や、そのほか脱水状態に対しては大量の乳酸加リンゲル液等の輸液が必要です。
よほど病気が進んで手遅れにしてしまわないかぎり、早期診断と上記のような強力な治療によって、良い治療効果をあげることができるようになりました。
しかし、いずれにしてもたいへんな治療をしなければなりませんので、この病気も治療よりも予防に徹するべきでしょう。
このようにやっかいで恐ろしい病気ですが、ワクチンでほとんど完全に予防することができるのです。
仔猫では2ヶ月目と3ヶ月目に成猫は年1回の追加接種が必要です。


猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫伝染性腹膜炎はウイルスによって起こる猫の伝染病で、いろいろな猫の病気の中でも予防・治療ともに難しいものです。
現在のところ、有効なワクチンもありません。確実な予防法も決め手となるような治療法もないという、不治の病といってもよいやっかいな病気です。
仔猫でも成猫でも、雌でも雄でも、どんな種類の猫でもかかる可能性があります。
猫伝染性腹膜炎には2つのタイプがあり、1つは胸部や腹部に液体がたまってくるウエットタイプと呼ばれているもので、この腹水がたまるために腹部が膨大してくるものです。
もう1つは、そのような症状のないドライタイプといわれているもので、慢性の全身的な病気です。
侵される臓器や部分によってその症状もさまざまに変化しますので、それだけ診断も難しいことになります。
治療は食欲を増加させたり、症状をやわらげることに向けられますが、飼主の手厚い看護が必要です。

猫白血病ウイルス感染症

猫白血病ウイルス感染症には、皮下や胸腔や腹腔内にリンパ肉腫と呼ばれるはれものができたり、異常なリンパ球が増えるという症状を起こすものがあります。
しかし、多くはその目立った症状を見ることなく過ごすことになります。
この病気は表に症状を出さないものがあるため複数の猫を飼育している場合、感染の機会がそれだけ多くなるので、定期的に検査するなどして十分な注意を払う必要があります。
検査で感染してることがわかった猫や、死亡した猫が出た場合はその猫を隔離した後、家中を完全に消毒し、その後1週間は新しい猫を導入しないなどの配慮が必要です。
この病気は慢性ですが非常に死亡率が高く、治療を行っても残念ながら現在ではほとんどの場合、完全に治してやることはできません。
少しでも命を長く、気持ちよく生活できるように治療をしてやります。
予防は白血病の検査をした上で、陰性ならばワクチンを接種してください。

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