フェレットの病気『インスリノーマ』

フェレットの病気『インスリノーマ』とは?

インスリノーマは膵臓のβ細胞(インスリンを産生する細胞)の腫瘍で、犬や猫では珍しいですが、高齢のフェレットでは一般的に起こる病気の一つです。
過剰なインスリンが放出されるために血糖値が低くなることが問題となります。
遺伝や食餌などが原因として考えられていますが、
なぜフェレットに多発するのか、いまだ正確な原因は解明されていません。
低血糖の症状として主に元気の消失や不活発などが現れますが、高齢のフェレットに起こる病気であるため、飼い主は老化が原因と判断してしまうことが多いようです。
そのため、気づかないうちに進行していく場合が多いのですが、
進行の度合いによっては悪心や嘔吐、下痢、後肢の虚弱、体重減少などがみられ、激しい低血糖時にはてんかん発作や昏睡を起こすこともあります。
症状のほか、血液検査によって低血糖(通常65~70mg/dl以下)を確認することで仮診断を行います。
血液検査は他の低血糖を起こす病気、たとえば肝疾患などと鑑別する一助にもなります。
場合によっては血液中のインスリン濃度を測定することもありますが、最終的な確定診断は開腹手術により膵臓の腫瘍を確認、摘出し、病理学的に行います。
治療は、血糖値のコントロールが主たる目的となります。
そのために外科的に腫瘍を摘出したり、内服薬による内科療法を行います。
内科療法は、血糖値を上昇させる作用のあるプレドニゾンとインスリンの分泌を抑制するジアゾキシドが単体あるいは複合して使用されるのが一般的です。
インスリノーマは完治の望めない進行性の病気であるため、生涯にわたる治療が必要ですが、血糖値がコントロールされている限り、日常生活に大きな問題はなくなります。
ただし、薬によるコントロールも経過とともに効果がみられなくなり最終的には死亡します。
外科的な摘出でも完治させることは不可能ですが、確定診断ができることと、その後に行う内科療法の補助として有効と考えられています。
手術後の合併症として膵炎が危惧されていますが、フェレットでは通常この手術が原因で膵炎を起こすことはありません。
平均生存期間は内科療法のみの場合で219日、外科的摘出も行った場合で462日というデータがあります。

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