ウサギの毛球症について

ウサギの毛球症を知る

毛球症はウサギのあらゆる年齢で発生し、特に小型種や長毛種の個体、そして換毛の時期に好発する。
ウサギは几帳面に毛繕いをするが、ネコと異なり、消化管の中に毛球が発生しても、幽門が小さいため嘔吐ができず、消化管を閉塞する。誘因として高でんぷん質、低繊維食の食餌による胃腸機能の低下、ストレスによる過度の毛繕い等が考えられる。
またこの病気は異物による閉塞というよりも、胃の運動性と機能性の変化により胃内の水分を消失することが具体的な原因と推測される。
症状は、食欲不振、便が出なくなり、おなかの中にガスがたまってくるなどで、次第に飲水だけを行い、体重減少がみられ衰弱する。
時に胃穿孔を起こし、急性の腹膜炎を呈する症例もみられる。
急性閉塞に移行すると元気喪失、腹部疼痛、重度鼓腸(胃腸にガスがたまりおなかが腫れる)、低体温、けいれん等の症状を呈し、急死する。 重症でなくても慢性の胃内毛球症は胃炎、胃潰瘍、盲腸便秘、盲腸鼓腸等を引き起こすので、治療は必要である。
診断は触診で胃内毛球の確認、X線検査で胃内の塊状物や特有の塊状物周囲の遊離ガスの存在を、あるいはバリウム造影X線検査でバリウムの胃腸においての流れ方、閉塞の確認を行う。
治療は、ウサギ用またはネコ用の毛球予防(除去)剤とメトクロプラミド等の消化管の運動を刺激させる薬剤、シプロヘプタジン等の食欲増進剤、H2ブロッカー等を投与する。
体を水和させるために補液や点滴、経口的に水分、電解質、流動食を与えることも必要である。完全閉塞であれば外科的に胃切開手術を行わなければならない。慢性化あるいは消化管に穿孔を生じた症例は予後不良である。
一般的な毛球症の予防として以下の方法が推奨できる。
①ブラッシングを毎日行う。
②グルーミングの回数を減少させ、ストレスを回避させるために運動や遊ぶ時間を増やす。
③高繊維成分のペレット、干草(チモシー)、野草、野菜を給餌させ、消化管の運動を活発にさせる。
④毛球予防(除去)剤を与える。市販されているウサギ用またはネコ用毛球予防(除去)剤を使用する。油性潤滑成分が毛球をほぐし流出させる。
⑤パパイヤ酵素、パイナップル酵素剤を与える。
パパイン酵素、プロメライン酵素の蛋白分解酵素が毛球を構成している一部の蛋白質を溶かして、毛球をほぐして流出させる。
しかし、強酸性である胃内での活性には疑問視されている。パパイヤ、パイナップルジュース、乾燥パパイヤ、パイナップルも同様である。

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