殺鼠剤中毒
Q.隣の家の車庫にネズミがいるそうです。家主は殺鼠剤をまくといっています。私のイヌが、その毒にやられないかと心配です。殺鼠剤は危険でしょうか?
殺鼠剤はペットのとって非常に危険です。ワルファリンなどの化学物質を食べた場合、死に至ることもあります。この毒は、ネズミをまねきよせるために、甘い味がします。ですから、多くの動物はこの毒にひきつけられます。
このタイプの毒は、動物の体内でビタミンKと置き換わって、血液の凝固に影響をおよぼします。
殺鼠剤を飲み込んでも、2~5日間症状を現さないこともあります。血液の凝固が正常に行われないために、便や尿の中に血液が混ざったり、鼻や口からの出血が見られるかもしれません。眼の白い部分や皮膚に、内出血して赤くなった部分がみられることもあります。出血の多くは体内で起こるため、すぐに症状がつかめない場合もあります。
また、ときには胸の中で出血し、そのため呼吸困難になることもあります。血液が失われるために貧血になり、元気がなくなり、可視粘膜が青くなり、ショックに陥ります。
動物が殺鼠剤を食べてしまったら、ただちに入院するべきです。食べてから数時間以内であれば、人工的に嘔吐を誘発し、しかるべき治療を行えます。数時間以上経過したのであれば、血液検査をして毒による内出血の度合を調べます。そして、血液凝固を助けるために、ビタミンKを投与します。胸や腹部出血している場合は、その血を抜かなくてはならないかもしれません。内出血の程度を知るために、レントゲン検査も必要になるでしょう。輸血やショックに対する治療が必要な場合もあります。