鼓脹症
Q.毎晩、オスのグレートデンと一緒にジョギングをしますが、最近は走った後に気分が悪そうで、よくげっぷをします。ジョギングが何か悪いのでしょうか?
食事の直前、または直後に運動をすると、空気が胃に閉じ込められて胃がふくらんでしまうことがあります。胃拡張あるいは鼓脹症とよばれる状態で、大型犬によく見られます。牛や馬など大型の動物でもよく見られる病気です。
ときにはふくらんだ胃がねじれてしまうこともあります。この胃捻転は非常に危険で、命を落とすこともあります。
鼓脹症は緊急に治療が必要な病気です。症状としては、まず突然おなかがふくれて痛がります。落ち着きがなくなり、空吐きを繰り返します。
胃がどんどん拡張すると、内臓に向かう血管が圧迫されて血液を供給できなくなります。また、血液が心臓に戻ってこられなくなり、酸欠状態もまねきます。大きくなった胃が肺を圧迫し、空気を吸い込めなくなります。
そのため、いちじるしい呼吸困難で酸欠となり、イヌはショック状態に陥ります。獣医師は、大至急のどから胃にチューブをさし込んで、胃内の圧力を下げなくてはなりません。同時にレントゲン検査で胃の位置を確認し、胃捻転を起こしているかどうかも判定します。
胃が捻転している場合には、胃までチューブを通すのが難しい場合もあり、手術によって胃を切開することもあります。血管カテーテルによる輸液など、ショックに対する治療が優先されます。心臓にまで問題がおよんでいる場合もあり、特に心拍数異常のケースが多くみられます。心拍数と心調律をモニターするために心電図を用います。異常な心調律を矯正するために、薬物が投与されます。
イヌのショック状態が落ち着いた後、手術が開始されます。まず、胃を切開して閉じ込められた空気を放出し、胃内圧を下げます。胃捻転を起こしている場合は元の状態に戻し、内臓の損傷程度を調べます。
場合によっては、ひどくダメージを受けた部分をとり除かなくてはいけません。その後、再び胃捻転が起こらないように、糸で胃を正しい位置に縫いつけます。
大型犬の鼓脹症を防ぐためには、一度に大量の食事を与えず、少しずつ何回かに分けて与えるようにします。食事と一緒に水も与えてください。また、運動の直前、直後に食事を与えるべきではありません。