白内障

Q.10歳になるイヌがいますが、眼が白く曇ってきました。以前ほどものが見えないようです。白内障になったのでしょうか?

 イヌは8歳を越すと目のレンズがぼやけたように見えてきます。これは「硬化」と呼ばれているもので、あくまで正常な変化で、視力に影響はおよぼしません。イヌが歳をとるにつれてレンズが硬くなり、ちょうど玉ネギのような層が形成されるために起こります。
 一方、白内障は、通常透明であるレンズが曇り、光が通過できなくなります。白内障は、レンズの一部だけが曇る場合から、完全にレンズ全体が曇ってしまう場合までさまざまであり、それによって視力にもさまざまな度合いで影響が出てきます。
 白内障で生まれてくるイヌもいますし、また白内障は子イヌでも成犬でも起こります。遺伝的な要因による場合もあれば、栄養のかたよりから生じる場合もあります。また、糖尿病のような病気から起こる場合、あるいは副腎皮質ホルモン薬のような薬から誘発される場合もあります。糖尿病のイヌの場合、慢性的な高血糖による化学反応でレンズが曇るといわれています。
 イヌの目のレンズは人間と比べて大きく繊細なため、白内障の手術は人間と比べて非常に難しくなっています。手術をしても炎症を起こしたり、後遺症が残ったり、ときには失明することもあります。

 症状の軽い場合、手術はおすすめできません。手術は、重度の白内障や視力が消失してしまったケースでのみ行われます。  少しでも白内障が見られたら、白内障の進行を抑える目薬を1日3回以上点眼してください。

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