エイズ患者とペット

Q.息子がエイズにかかり、家に戻ってきて治療することになりました。息子を励ますためにも、イヌかネコを飼おうと思うのですが。

 イヌやネコを飼うということは、非常によい精神療法になります。うつ病になるのを防いだり、また免疫作用を強化することも知られています。そして、ペットは人間をあざむくことがありません。
 ただしエイズ患者は免疫力が落ち、さまざまな感染症にかかりやすくなっています。息子さんの担当医とよく相談し、リスクを最小限にするためにも健康なペットを選ぶべきでしょう。
 たとえば、トキソプラズマは一種の寄生虫(原虫)ですが、感染したネコの糞便を介して人間にうつります。従来までこの病気は、流産を起こすということで妊娠中の女性への影響が大きく取り上げられていましたが、免疫機能に異常のある人はすべて、特別に注意を払う必要があります。回虫やジアルジア、そのほかの寄生虫もエイズ患者にとって問題になる場合があります。
 真菌症やカイセンなどの皮膚病も、イヌやネコから人間に伝染します。エイズ患者は特に移りやすいといえるでしょう。また、サルモネラ菌やキャンピロバクター菌といった細菌は、イヌやネコの糞便に含まれており、人間の消化器官に感染して下痢や軟便といった症状を引き起こします。ですからエイズ患者は、猫のトイレの砂かえを行うべきではありません。また、ペットの軟便や下痢便との接触も避けるべきです。
 あなたの息子さんやあなたの家に住んでいる人と接触するペットは、6ヶ月ごとに獣医師の診察を受けるべきでしょう。
 もしネコが外にも出るようなら、年に2回、トキソプラズマとネコ白血病、およびネコエイズの検査も必要です。

一覧へ戻る