出血異常
Q.ドーベルマンの子イヌですが、先日鼻血を出し、またときどき歯ぐきから出血します。獣医師は、出血異常があるかどうか検査をしたいといいます。どうして出血異常が起こるのですか?
最も一般的にみられる出血異常は、ボン・ウィレブランド病(Von Willebrand’s disease)で、特にドーベルマン、スコティッシュテリア、およびシェットランドシープドッグに頻繁に見られます。
この病気は、ボン・ウィレブランド因子とよばれる蛋白質の欠乏により生じます。ボン・ウィレブランド因子は、ケガや切り傷ができたとき血液が血小板の作用で凝固する際に「のり」のように働きます。
ボン・ウィブランド病のイヌは、しばしば口や鼻から多量に出血することがあり、血尿がみられることもあります。血が正常に固まらないので、手術の後やケガをしたときには、長い間出血が止まらないといったことがあります。
この病気は遺伝します。もし両親ともにボン・ウィレブランド因子が欠如していたなら、出血が相当ひどくなるという傾向があります。片方の親だけから受け継がれたものであれば、いくらかのボン・ウィレブランド因子が存在するので、出血傾向はずっと減少します。
ドーベルマンの子イヌでは、顕著な出血がしばしば見られます。歯が生えるときや、かゆがって尾や耳をかんだり引っかいたりして、ひどく出血することがあるのです。スコティッシュテリアとシェットランドシープドッグでは、通常12~18ヶ月齢になってはじめて症状が現れます。
ボン・ウィレブランド病は、特別の血液検査で調べることができますが、治ることはありません。出血異常を起こすたびに、対症療法を続けていくことになります。
この病気のイヌは、ほかのイヌにかまれたりひっかかれたりしない状態にしておかなければいけません。また、可能な限り、長い時間ひとりにしておかないことです。平凡なかすり傷でも、ただちに治療を受けないと出血多量で死ぬことも考えられるからです。また、ボン・ウィレブランド病のイヌは手術ができないので、特に気を配ってやることが絶対に必要です。