股関節形成不全

Q.私のイヌは、股関節に形成異常があります。最新の研究によって、この病気が治せるようになったと聞きました。くわしいことを知りたいのですが。

 股関節形成不全は通常遺伝性の疾患で、主として大型犬や成長の早いイヌに見られ、強い痛みのある関節炎をともないます。獣医師の処方する薬によってある程度は痛みを抑えられますが、人工股関節などの手術が必要な場合もあります。
 股関節の構造は、ボールとソケットにたとえられます。つまり、大腿骨の頭がボールで、それが骨盤のソケット部分と重なり合うようになっているのです。

 イヌによっては関節を支えている組織が弱く、ボールとソケットの間がゆるくなることがあります。そして、そこから関節が破壊されてしまいます。股関節形成不全のイヌでは、このようなダメージを受けた関節が炎症を起こして痛みが生じ、足をひきずるようになります。
 若いイヌでは、はじめゆるんだ関節のために歩調が変わることからはじまる場合が多いようです。運動の後だけ、足をひきずる場合もあります。そして歳をとると退行性の関節炎になって、痛みやこわばりが見られるようになります。
 初期の股関節形成不全は、運動制限と鎮痛剤で抑えることができます。どのタイプの鎮痛剤が最適であるか、そしてどれくらい投与するかを、獣医師とよく相談することです。人間には安全である痛み止めでも、イヌにとっては危険な場合もあります。
 関節炎がひどくなると、副腎皮質ホルモン薬のような抗炎症薬が必要になります。海性脂質を含んだ食物サプリメントは、天然の抗炎症成分を含んでおり、股関節の炎症を起こしたイヌに、すぐれた効果を発揮します。

 ここ数年にわたり、意識の高いブリーダーたちの中では、交配を選択して股関節形成不全を減らそうという動きがでています。股関節形成不全の発生している犬種では、レントゲンをとって早期に診断をし、そのようなイヌは避妊去勢手術をして、子孫に病気を遺伝するのを防ごうというものです。

 大型犬は股関節形成不全になる素質を備えています。なかには2歳以上になるまでは症状を現さないこともあります。イヌを交配しようと計画したなら、オス、メスともに交配前にレントゲンをとって、異常を調べるべきです。

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