甲状腺機能低下症

Q.飼っているゴールデンレトリバーは太っていて、皮膚がかさかさでフケがあり、よく毛が抜けます。
獣医師に、甲状腺機能が低下しているかもしれないと言われました。どうしたら治せるのでしょうか?

 甲状腺機能低下症は、イヌによく見られる遺伝性の病気です。甲状腺は体中の細胞をコントロールする自動調節機械のようなもので、もちろん皮膚や毛もコントロールしています。

 甲状腺機能低下症のイヌは、つやのない乾燥した毛並みをしていて、代謝が遅く、元気がなく疲れやすくなります。また、太りやすい体質になります。
 同時に、抜け毛、左右対称の脱毛、かさかさしたフケ、皮膚炎が見られることもあります。まぶたが眠たそうに下がり、皮膚がはれぼったくなり、「悲しそうな顔」になり、また、色素が付着して皮膚が黒くなることもあります。さらに心臓の鼓動が遅くなったり、免疫機能が衰えたりして、さまざまな病状を表わします。そのため、この病気は「達者な役者」とさえよばれています。

 獣医師にイヌの甲状腺の検査をしてもらえば、この病気かどうかわかります。甲状腺に問題があるのであれば、甲状腺ホルモン薬を飲ませると、見ちがえるようになります。

 もし検査で甲状腺の機能が低下していると判明したなら、適正量の薬を毎日与えます。3ヶ月もすると、甲状腺機能の低下のために起こっていたさまざまな症状がなくなることでしょう。
薬を与えはじめてから4~6週間後に再び検査をし、薬の量が適正かどうかを判定します。

 甲状腺機能低下症のイヌは、このように正常で活動的な生活を送ることが可能ですが、必ず薬を与え続けなくてはなりません。
 正常なレベルの甲状腺ホルモンを産生することができないので、薬でこれをおぎなわなくてはならないからです。

 薬に加え、甲状腺機能低下症のイヌには、正しい栄養を補給する健全な食事を与えなくてはなりません。皮膚炎の治療のために、抗生物質が処方されることもあります。
 薬用シャンプーとコンディショナーは、いたんだ皮膚や毛をととのえるのに必要であり、新しく生まれる皮膚と毛を健康に保ちます。

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