カイセン
Q.飼っている2匹のイヌが、たえずかゆがります。ノミはいないと思うのですが、耳やひじ、お腹のあたりをこすったり、かんだりします。どこが悪いのでしょうか?
カイセンとよばれるダニに感染すると、皮膚病の中でも最もひどいかゆみをともなう病状が見られます。あなたのイヌの場合、この皮膚病の症状と一致しています。
カイセン症を起こすダニは、イヌ同士が直接接触するだけで、簡単に伝染します。あなたのイヌはおそらく、グルーミング施設、ペットホテル、動物病院、あるいは近所のイヌと遊んでいるときに、ダニをもらってきたのだと思います。
カイセン症のイヌは皮膚を強くひっかくため、その部分の毛が束になって抜け、皮膚はうろこが張ったようにかさばり、炎症も起こします。あまりにもかゆみがひどいため、イヌは寝食も忘れてひっかき続けます。
カイセン症の犬は、腐ったオイルのような悪臭を放ちます。一般には耳とひじ、腹部に、症状が多く見られます。背骨に沿った部分には、なぜか病状が現れないため、そのほかの皮膚病と区別することができます。
しかし、ノミも同時に寄生している場合は、体全体くまなくかゆがり、診断が難しくなってきます。
カイセン虫を発見するのは容易ではありません。ひじや耳のかさかさした部分を皮膚掻爬試験をし、顕微鏡で観察します。しかし、カイセン虫が発見できるのはまれなので、多くの場合、皮膚病状や治療に対する反応で診断します。
カイセン症の治療では、以下の事を同時に行います。薬でダニを殺し、抗生物質で皮膚炎を治し、シャンプーとコンディショナーで患部を保護し、そして、抗炎症薬でかゆみを抑えます。また、イヌの生活している部分も、完全に消毒しなくてはなりません。これらの治療の効果は、2週間もすると現れます。
人間もこのカイセンに感染することがありますが、かゆみは一時的なものです。カイセンは人の皮膚内では繁殖することはできないからです。