ウサギの繁殖

ウサギの繁殖

発情

ウサギは周年繁殖動物の交尾排卵動物の為、ハムスターのように周期的な発情、排卵を繰り返さず、交尾により排卵を行なう。
ウサギの場合、発情が長いことが特徴で、1~2日間の休止期と4~17日の許容期が繰り返される。交尾が行なわれないと卵胞はしばらく存続して退行し、新たの卵胞が相次いで発育する。卵巣には常に発育卵胞が数個存在しており、卵胞期が持続することで、持続発情を呈する。許容期には外陰部の腫脹および色の変化(桃色、赤色および紫色)が明瞭である。
許容期の行動として、雌は下顎の臭腺を物や他の動物にすりつける動作(Chin Mark)や、腰部を軽く押したり、または雄が乗駕しようとした時に、尾部をあげる許容姿勢(lordosis)が見られる。
雄は縄張りの為に尿を飛ばしてにおいつけをしたり(marking)、人の腕や足などにすがり付いて腰を振り動かし、精液を出すような行動がみられる。
気が荒くなって人に噛み付くものもいる。

性成熟

雌の性成熟は日照時間に影響を受ける。個体差があるものの、4ヶ月~1年である。長日では春季発動が早期に生じ、産仔数も多い傾向がある。
一方、雄の性成熟は、日本白色種では生後120日頃である。生殖が可能になるのは約6ヶ月である。雄の性成熟は日照時間以外に雌の尿臭が影響する。性成熟に達し後、雄は盛んに後肢で地面を床を打ち鳴らしたり、ケージの外へ放尿したりする。生殖可能な雌を同居させると、雄は雌を追い掛け回し、雌が許容姿勢を示すと乗駕姿勢し前肢で雌を抱える。口で雌の後背部をくわえ交尾運動を何回か行なった後、陰茎を挿入、射精し、奇声を発しながら雌もろとも横転し、交配が完了する。

排卵/妊娠

排卵は交尾後9~12時間から認められる。交尾が成立すると、数分内に中枢興奮伝達が始まり、1時間以内に黄体形成ホルモン(LH)が分泌される。
妊娠期間は30~32日であり、多くの場合分娩は、朝方に見られ、夜間には数%といわれている。また、分娩後の交尾により、排卵、妊娠が可能である。産仔数は加齢とともに、平均よりも少なくなる。年8回まで出産可能である。
授乳は1日に1回といわれており、授乳時に新生児を乳頭に誘導するフェロモンの存在が知られている。これは自然下でのアナウサギに敵が多く、子供の存在をできるだけ目立たせないように隠そうとするためである。なお偽妊娠期間は15~16日である。

新生仔

新生仔の開眼時期は、生後約10日目からである。
この頃になると歯も生えてきて噛み始める。消化器官の機能が完全に発達し、固形の餌や消化しにくい植物、果物に対応するのが6週以降だが、6~7週で致命的な下痢を起こしやすい為、もう1~2週は母親と一緒して様子をみた方がよい。そのため里子に出すのは8週以降が安心である。早いところでは4週目で販売しているペットショップもあるが、腸疾患の発生などで育てるにはリスクが大きい。

雌雄鑑別

幼齢時は雌雄を見分けるのが大変難しい。3ヶ月を過ぎると、雄は睾丸が陰嚢に降りてくるので見分けがつきやすくなる。また肛門寄りの下腹部に、対になって2つ細長いむき出しの袋状の陰嚢が見えるようになる。陰嚢の外観はピンク色でやわらかそうに見える。雄は鼠経管が開いているので腹腔内と陰嚢内を自由に移動できる。
雄の生殖突起は丸く開口するが、雌は縦にスリット状に開口する。

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