ウサギの五感

ウサギの五感

視覚

視野は、眼球が頭蓋の両側に位置しているために広く、片目あたりの視野は、約170~190度である。左右の両目の視野はほとんど自分の背後まで見える360度程となる。野生では、その視野の広さで捕食動物から逃走して生き延びている。反面、両目を使って見える範囲は狭く、約10度程しかない。このことは、近距離のものが見えにくく、識別しづらい(立体的に見えづらい)ために認識力に欠けていることを表す。ウサギの網膜はかん体系、錐体系の両方の細胞を有し、レンズは多くの光を集めることが可能である。瞳孔反射を瞬間的に行なうため、明るさに対する適応力は低いが、人の約8倍の光への感度を持ち、わずかな光の中でも比較的良くみることができる。そのため、本来は夜行性であるといわれているが、実際は、明け方と日暮れ頃の薄暗がりの時間帯に活動する。ジャパニーズホワイトなどの白ウサギにみられる赤い目は、虹彩のメラニン色素の欠如により、網膜の裏側の血管が透けて見えるためである。ウサギの目の色はその他に、グレー、ブラウン(ナチュラル)、ブルーなどがあり、左右の目の色が異なる「バイアイ」、一つの目の中に2つの色が見られる「パーティーアイ」などがある。

嗅覚

多くのにおいを嗅ぎ分けられる優れた嗅覚を持つ。ピクピクとよく動く鼻は、揮発性のごくわずかな臭いでも感知すると言われている。どのウサギの臭い付けかを尿の臭いで識別できるほど嗅覚は鋭い。このように嗅覚が敏感なために、焦げたような臭い(たとえば焼肉などのにおい)、あるいは香料入りの洗剤、香水などはウサギには強すぎることがあるといわれている。

聴覚

耳の形が細長い「じょうご形」をしており、集音効果が高く、小さな音も聞き取ることができる。左右の耳はそれぞれに別の音も方向に向くことができ、360度の音源を聞き分け、その位置を確認することができる。外敵の多いウサギは、視覚と同様に聴覚を発達させて身を守るのである。優れた聴覚を持つウサギの近くで、大きな物音を立てること(ドアをバタンと閉めたり、大声を立てたり、犬が近くで吠えるなど)は、敏感なウサギを怖がらせることになる。

味覚

ウサギは約8000種類の味も判別できる(犬は約48000種類)とされているが、ウサギの味覚は、好き嫌いの区別のためで、有害なものの判別はできないといわれている。

触覚

ウサギは身体の表面全体で刺激を感じている。また、頬ヒゲでその場所の幅を測り、暗闇の中で道を見つけたりする。そのため、ヒゲを切ったり、引っ張ったりしてはいけない。欧米では外鼻孔をピクピクさせる動きは人気があり、「鼻でウインクする」などの表現がある。ちなみに1分間に20~120回も動かすことができる。

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