ウサギの歴史/分類と品種

歴史

現在の飼いウサギは、アナウサギを家畜化したものである。初めて飼われたのは2000年程前のことで、主に食用とされてきた。地中海付近(イベリア半島からアフリカ北西部)で飼育されてきたが、ウサギの繁殖力が強かったため世界各地に広まった。中世の初めからウサギは修道院でも飼育されるようになり、修道士や修道院に宿泊する人の食料として飼育された。現在、オーストラリアやニュージーランドでは、野生化したアナウサギが農地を荒らすため、害獣扱いされている。地域によっては、捕獲者に賞金が支払われるところもある。 日本には16世紀頃オランダから渡ってきたが、明治以降、日本の軍事主義が拡大し、日清・日露戦争が激しくなるにつれ、毛皮は衣料、肉は食料として利用された。安価で簡単に繁殖ができるウサギは、国から飼育を奨励されたこともあった。その頃、日本では「白い毛に赤い眼」という日本白色種が各地で飼育されており、昭和4年にはその数は全国で660万頭にのぼったこれは、ウサギの飼育にスペースも経費もかからないという利点があったためである。第二次世界大戦後、ウサギが家畜として飼われることは激減し、医学の実験用やペットとしての飼いウサギが多くなっている。

分類と品種

分類

ウサギはもともと自然界に分布していたが、人間の手で移入されたかはともかく、現在は世界中に分布する動物である。過去には、げっ歯目にも分類されていたが、1912年、J.W.グリドリーが血清学的な相違と、小切歯という構造により、重歯目(ウサギ目)と新たなる分類を行なった。

俗称

ペットショップで見られるウサギの多くに、ミニウサギと命名されているが、ミニウサギと血統的に大きくならない小型種、そして中大型に成長する品種の幼若なウサギを指す。大抵は、後者であることが多い。

品種

ペット用に改良され、ドワーフ(小型)種から大型種まで現在約150ものさまざまの種類がみられる。

・ネザーランドドワーフ:オランダ原産でダッチを更に改良した。体重が1~1.5kgの小型種である。飼育者であるJ.メイジェリング、C.W.カーカー等がこの種類の普及に貢献した。顔が詰まっていて頭は丸く、尖った耳も特徴である。被毛も豊富で、活発な性格の個体が多い。

・ヒマラヤン:ヒマラヤ地方原産でイギリスで改良された。1800年代半ばにハンズーナハツハイム博士が、遺伝的な突然変異の種類であると照明した。体重は2kgで目は赤い。体は白く、鼻先、耳、尾、と四肢の先は有色(白、青、茶、藤色)である。猫のヒマラヤンは、ウサギの後に登場したため、ウサギのヒマラヤンから名前を借りた。

・アンゴラ:トルコのアンゴラ地方を原産地とする。毛皮のためにつくられた種類で、毛の長さは約8cmである。雄より雌の方が毛質は上等で、体重1kgあたり0.2kgの毛皮が取れる。アンゴラ種の毛は大変軽く、羊の毛と比べるとその重さは4分の1程度。毛質は断熱と保温性に大変優れている。アンゴラ種はイングリッシュ、フレンチ、サテン、ジャイアントの4つの種類に細分化される。日本にアンゴラウサギが輸入されたのは大正時代で、イギリスから五党入ってきた。保温力があり、軽く、肌ざわりの良いアンゴラの毛織物はとても人気があり、昭和初期には日本各地度品評会が開かれた。また副業として飼育することが大流行となり、昭和17年にはアンゴラの飼育頭数が世界一までになった。この流行は昭和30年ごろまで続いたが、現在では毛を取るための飼育はほとんどされていない。

・レッキス:原産地はフランスで、ビードロのような手触りの毛質である。もともとは毛皮種であり、毛の長さは15~18mmと短くてやわらかい。ひげは良くみると縮れている。オーバーコートとアンダーコートが同じ長さのため、毛の密度が濃く見える。1919年、突然変異によって毛がほとんどはえていない仔ウサギが発見され、兄弟姉妹を掛け合わせてつくられた。生後7ヵ月ぐらいの仔ウサギの毛皮が高級だといわれている。最近はレッキスとドワーフ種を交配してミニレッキスといる小型種もみられる。

・フレミッシュジャイアント:ベルギーのフランドル地方原産で、ドイツで食用に改良された。耳は厚く、先がスプーンに似た狭いV字型を描いている。体重も5~8kgと最大種である。ジャイアント種にはアメリカン、ブリティッシュ、ジャーマン種などがある。飼育種としては向いていない。体重を十分に支えることが困難で、四肢に障害がおきやすく、また暑さにも弱い。

・ジャパニーズホワイト:フレミッシュジャイアントとニュージーランドホワイトの交雑種で、日本で作られた種類であり、白い被毛と赤目が特徴である。体重は4~5kgで元来は毛皮と食肉用だったが、現在その数は減少している。 ・ニュージーランドホワイト:アメリカで作られた、一般的なウサギである。食肉用、毛皮用、研究用など多用途である。

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