猫とはどんな動物か①
1.感覚器官
視覚
猫は双眼視できるので、遠近の距離感を正確に判断できます。
色の識別能力は高くありませんが、青や緑は多少区別ができるとも言われています。
わずかな光でも増幅することができるので、暗いところでも人の6~7倍くらい物を見る能力があります。
聴覚と平衡感覚
餌となる動物などのかすかな泣き声やかさかさと動き回る音を聞き分けるように進化してきました。
集音のために耳介の角度を変えることができ、左右の耳に入るわずかな時間差で音源の方向をより正しく把握できます。
猫は耳の内耳にある体の平衡感覚をつかさどっている内耳前庭器官が発達しているため、
ある程度高い場所から落下しても柔らかい関節と発達した筋肉、優れた平衡感覚が協調して、すばやく体位を回転して足から着地できます。
味覚と嗅覚
味覚は犬のものより発達していると言われ、塩味、苦味、酸味に反応しますが、甘味に対する反応は明らかではないようです。また猫は鋭い嗅覚を持っており、新しい食べ物や飲み水、新しい猫の仲間、知らない人などは、すべて匂いを嗅いでみます。
触覚
生まれた直後の猫の子は、目が見えないので触覚で乳首を捜します。
猫は口の周り、頬や眼の上などに長くて硬い立派なヒゲが生えており、触毛ともいわれる剛毛で接触や振動に対して鋭敏に反応します。
また、異常や危険を感じるとヒゲを動かして注意深く行動し、さらに、狭いところを体が通り抜けられるかどうか知る時にも役立っています。
2.食性と狩り
肉食動物のうちで、猫類は最も狩りに適応した動物と言われ、食生は肉食性で植物を原則的には食べません。
しかしながら、家猫は長い間人間に飼われてきたので、多かれ少なかれ雑食性の傾向があります。
猫はネズミ、小鳥、カエル、トカゲ、魚、昆虫などを本能的に狩りますが、そのためには母親からそれらの動物の狩りをすることを学習する機会が必要であり、
学習しないと餌の対象として認識が発達しないと言われています。
また、狩りは空腹の時に成功する確率が高いのですが、餌を常に与えられている家猫は狩りをする必要が次第になくなってきています。
それでも猫によっては狩りをし、成功した獲物をくわえてきて飼い主に見せることがあります。
2.繁殖行動
性成熟
オスは生後6ヶ月から12ヵ月の間に初歩的な性行動がみられることがありますが、一般的には生後18ヶ月頃から成獣のオスとして行動が大きく変化し、特徴的な泣き声や尿を壁に吹きつける尿スプレー等の行動がみられるようになります。
特に、オス猫の性行動に伴う三大問題といわれる、放浪癖、オス猫同士の喧嘩、尿スプレーが顕著になります。
また分泌腺からの分泌物をこすりつけたり、爪研ぎをしたり、糞尿などの排泄物を利用して自分の存在を誇示し、マーキング行動をします。
メスは生後7ヵ月から12ヵ月の間に最初の発情があり、発情徴候は落ち着きがなくなり尾を上げては排尿回数が増加し、特有の泣き声を出すなどの行動がみられます。
また一種の化学物質であるフェロモンを出してオスの性衝動を誘発します。
発情の頻度や間隔は飼われている環境や品種などによって個体差がありますが、
一般的には1年に3回、約3ヵ月の間隔で、1月中旬~3月中旬、5~6月、8~9月にみられ、
発情は約1週間程度続くものが多いといわれています。
発情しても交尾しない場合は4~5週間おきに発情するといわれています。
交尾排卵
猫は交尾の刺激によって排卵するタイプの動物です。
妊娠
交尾排卵といっても、排卵は交尾が何回か行われることが必要といわれ、有効な交尾の刺激の場合は24時間後に排卵を起こして受精します。
妊娠の徴候は3週間経過する頃、乳首がふくらんでピンク色になり、さらに30日も過ぎる頃には腹囲が膨らむ、6~7週間を過ぎると胎動がみられることがあります。
妊娠期間は63~65日、約2ヵ月です。
分娩と新生児
日本の家庭で飼われている猫の平均寿命は現在10歳前後と推定されていますが、
ワクチンの開発と獣医学の進歩、キャットフードの普及によるバランスのよい栄養食などによって少しずつ寿命が延びている傾向にあり、長寿の猫としては20歳以上のものもいます。
なお、外飼いの猫の寿命は、室内飼いの猫に比べるとずっと短く3~4年といわれていますが、
これは栄養状態や疾病、生活環境、交通事故等の要因が大きく影響しているものと考えられます。