小鳥の飼い方

小鳥の上手な選び方

飼育する小鳥の種類を決めていても、いざ小鳥屋さんへ行くと、おなじ種類の小鳥が数羽から数十羽も一緒にいることが多く、選ぶのに迷ってしまうものです。こんなときは、次のことに注意して選ぶとよいでしょう。

  • ①動作が敏捷で羽を膨らませていないもの。
  • ②体に汚れがなく、表情が生き生きしている。お尻や脚に汚れがなく、また、鼻孔やその周りも汚れていないもの。
  • ③手乗りの雛は、少しの刺激でもすぐに大きな口をあけて餌をほしがるものがよい。
  • ④若い鳥は、羽毛に光沢があり、脚につやがあり、鳴き声が大きく張りがあるものがよい。

注意:すでに小鳥を飼っている家庭で、新しい小鳥を入れる場合、1週間から10日間は、別のカゴに飼って、異常がないことを確かめてから、前からの小鳥と一緒に飼いましょう。できればその間に健康診断を受けてください。

小鳥の成長

  • 【孵化後日数 10~15日】 手乗りにする鳥はこの時期に親鳥から離す
    (1時間半から2時間ごとに、さし餌する。夜はさし餌をしなくてもよい)
  • 【孵化後日数 30日】 巣立ちをし、自分で餌を食べ始めます。手乗りの鳥はフイゴから出してマスカゴに入れる。餌をまいてやるなどして、自分で食べるようにしてゆく。検便
  • 【孵化後日数 3ヶ月前後】 第2回上記混合ワクチン接種(以降毎年1回追加接種)
  • 【孵化後日数 60日】 親から離し、別のカゴに移します。検便(生後10ヶ月を過ぎると産卵します)
  • 【孵化後日数 3ヶ月】 健康診断(以降1年ごとに健康診断・嘴、爪のトリミング)
    餌はできるだけ種類を多く与える。
  • 【孵化後日数 4~5歳】 腫瘍など多くなる。
  • 【孵化後日数 7歳】 老化が進みます。冬季などは暖めるような注意が必要です。

手乗りの給餌、方程式

  • 15日〜 アワ玉をふやかし、固ゆでの卵黄少量、ボレー粉を耳カキ1杯と青菜のみじん切りや総合ビタミンを混ぜて与えます。
    この餌を、文鳥はヘラまたは育ての親(商品名)で、また、セキセイインコはスプーンなどで食べさせます。
  • 21日 さし餌を続けながら、上記を浅い皿などにも入れてやります(徐々にさし餌の回数を減らしていきます)。
  • 25日 上記に加えて、ムキ混合とボレー粉を毎日、撒餌(まきえ)します。
    この時期から別の餌入れに水を入れます。
  • 30日 皮付き混合とムキ混合を半々に混ぜ餌入れに入れます。ボレー粉も少し混ぜておきます。
    皮付き混合を十分食べるようになったら、ムキ混合を与えるのをやめます。

小鳥には胃が3つもあります

本来が肉食獣である猫は、我々とは異なった歯を持っています。猫がアクビをした時にでも観察してみればわかるとおり、先が全部とがっています。歯と歯の間隔もあいています。歯の数も30本しかありません(犬は42本)。
肉食獣の歯は、噛み潰すのではなく、肉や骨に咬みつき引き裂くのに便利にできています。ですから、引き裂いた塊のまま飲みこんでしまいます。また、それだけに食道も、たいへん弾力に富み、唾液も多く、飲み込むのにたいへん適しています。
一方、これを受け入れる胃も、消化器全体から見て、人間よりもずっと大きな割合を占めていて、たいへん酸度が高く(ph1.4~4.5)、また、小腸はその割に短く、これも肉類を消化するのに適していますのです。
したがって、歯が1本もなくなったとしても、猫が人間に飼われて生活していて、飼い主が食べ物を飲みこめる大きさにして与えるかぎり問題はなく、ほとんど消化器に対して影響はないと考えてよいわけです。
しかし、自らいろいろな食餌にありつかなければならない半ノラ君や全ノラ君は大影響を受けます。
以上、猫の歯と消化器についてお話してきましたが、ここで間違えないでほしいのは、肉食獣は肉だけ与えていればよい、のではないということです。
猫の栄養学も、犬の栄養学と同様に、たいへん進歩しています。それにもとづいてよく考えて作られたバランスのよいキャットフードが市販されていますので、これを与えるのが一番よいです。
なぜならば、本来、肉食獣が食べている肉には、肉だけではなく、内臓も、骨も、腸の中の半消化物も含まれているわけで、我々の食べる肉とはまったく異なっているからです。
キャットフード(魚のカンヅメは除く)はこのようなことを考え、研究の結果、理想的なバランスを保つように作られています。

小鳥の上手な選び方

飼育する小鳥の種類を決めていても、いざ小鳥屋さんへ行くと、おなじ種類の小鳥が数羽から数十羽も一緒にいることが多く、選ぶのに迷ってしまうものです。こんなときは、次のことに注意して選ぶとよいでしょう。

  • 動作が敏捷で羽を膨らませていないもの。
  • 体に汚れがなく、表情が生き生きしている。お尻や脚に汚れがなく、また、鼻孔やその周りも汚れていないもの。
  • 手乗りの雛は、少しの刺激でもすぐに大きな口をあけて餌をほしがるものがよい。
  • 若い鳥は、羽毛に光沢があり、脚につやがあり、鳴き声が大きく張りがあるものがよい。

注意:すでに小鳥を飼っている家庭で、新しい小鳥を入れる場合、1週間から10日間は、別のカゴに飼って、異常がないことを確かめてから、前からの小鳥と一緒に飼いましょう。できればその間に健康診断を受けてください。

小鳥の上手な飼い方

雛の病気と予防

雛のかかりやすい病気のうち、主なものを2つあげ、その特徴と予防を説明しましょう。
①一般には、脚弱症といわれている病気で、脚の力が弱くなり、ちゃんと立てなくて床でごろごろしている。また、すぐはらばいになる、あるいは、片脚をもちあげる。止まり木をしっかりつかまないといった症状を現わします。正しくは、栄養性二次性上皮小体機能亢進症といわれるものが中心になり、カルシウムの欠乏が主な原因です。また、ビタミンD3の欠乏などがあれば、これはさらに悪化します。これにビタミンB1の欠乏が加わってくる場合もあるとみられています。予防には、餌に、ボレー粉をいれることと、ビタミンB群と極微量のビタミンD3を混ぜてやることが必要です。
②下痢便、便がお尻にくっつくなどのときは、腸炎になっていることが多いものです。原因は古くなった餌、塩分の強い餌や水洗いしていない海の砂を床に敷き鳥がそれを食べる、急な寒さ、などいろいろです。また、筋胃に砂が入ってないときもこのように消化不良の下痢になりやすいものです。さて、予防はですが、原因によりいろいろです。皮のついていない餌は、悪くなりやすいので、皮付混合餌をやること。川砂を少しずつ床にまいてやること、飲水は必ず1日1回取り替えること。水を汚すような鳥は、1日2回かえてやるとよい。
一番大切なことは、平常と違うところを発見したら、まず、病気ではないかと考えてやることです。小鳥はすべて体力がなく、極めてもろいものですから、早期発見、早期治療がなくては、助けることが難しくなります。

栄養

小鳥の栄養の問題で、一般的に陥りやすい欠点をどうすればより正しくできるかご説明しましょう。

皮付混合餌か皮むき混合餌か

むいてある方が、鳥が食べるのに、簡単で、たくさん食べるだろうとか、カラが飛び散らないので、部屋が汚れないとか考えられますが、皮むき混合餌には、いくつかの欠点があります。
皮付の餌は、生きている餌ですが、むき餌は死んだ餌ということになります。したがって、変質しやすく、変質した餌は腸炎の原因にもなります。
次に、むき餌は、ヌカとハイガ(発芽点)がほとんどありません。これは、1つの種子にある、いろいろの栄養の一部をそぎとっているようなものです。だから、皮付混合餌を与えなければならないのです。

ボレー粉

ボレー粉やイカの甲は、カルシウム補給用の餌です。産卵中の雌以外は、不要と考えている方や、若い鳥には硬いものはやらないほうがよいと、考えている方もあるかと思います。しかし、実際には生まれてから死ぬまでのほかの餌とともに、欠かせないものです。
手乗りが育たないとか、卵を1個や2個しか生まないとかいう例で、案外ボレー粉をやっていなかったり、食べないからといって放っておいた例が多いものです。
カルシウムは、粒餌には必要な量を満たすだけ含まれていません。必ず、補給する必要があります。別の器に入れてやると、器をかける場所によっては、まったく見向きもしないことがあります。食べやすいところにかけてやることが大切です。
また、イカの甲は食べるが、ボレー粉は見向きもしないとか、逆の場合とかいろいろあります。カルシウムは、絶対に必要なものですから、食べないから与えないのではなく、いつでも食べられるようにしておくことが大切です。

小鳥の歯

歯の代用をする内蔵はどこでしょう?それは筋胃といい、鳥の3つの胃の一番最後にあります。強い筋肉の壁に囲まれた部屋に、数粒の砂が入っていて、穀物をすりつぶすのです。砂がなければ、歯がなくなったのと同じです。ですから、砂が必要なことはおわかりいただけると思います。
砂をどのように与えるかは、大きな問題です。今まで砂を持っていなかった鳥は、砂を見ると、食べ過ぎてしまうことがあります。簡単に、床にパッと砂をまいてやるといったことをしてはいけません。できれば、石英砂のような硬い砂で、直径1mmくらいの大きさのものを、毎日1~2粒ずつ食べられるほど、つまり、ほんの少しの砂を餌の中に混ぜてやるのがよいでしょう。また、塩土を使うのもよいでしょう。
なお、鳥の餌のうち一番大切なことは、餌を切らさないことです。半日ほどならなどと思っていると大変です。1日餌をやらないと、元気な鳥でも死ぬことがあります。すぐに餌を入れてやりましょう。カラが上につもっていて下の餌が食べられず、餓死することもあります。好きな餌だけ食べて、食べないものが残っていることもあります。また、カラがいっぱいたまっているのを餌がいっぱいあるように錯覚することがあります。充分気を配ってください。

鳥カゴの広さ

鳥カゴの広さは、広ければ広いほどよいことは、言うまでもありません。では最低限どのくらいということになると、止まり木まで羽ばたいて移動できるくらいの広さということになります。セキセイインコ、文鳥では、間口60cm、高さ30cmくらいが最小限だと考えます。日本で市販されているカゴの小さいものでは、間口30cm、高さ30cm、奥行き20cmくらいしかありません。これでは、羽ばたくと翼端がぶつかるか、頭をぶつけてしまいます。少し狭すぎますし、今一般に使われているカゴの大きさの3倍くらいが必要と考えてください。

手乗りの上手な育て方

飼鳥を上手に手乗りにするには、小鳥の恐怖感を減らし、食べ物をさし出す動作によって、小鳥が餌を自発的に摂るようにもっていけるかどうかにかかっています。
手乗りにする鳥は、健康で孵化後14日齢前後のものがよいでしょう。その場合の食餌は、主食とするアワ(ムキアワ)、ボレー粉、ゆで卵の黄味、栄養剤(獣医師の調剤による)などを混ぜ合わせたものを与えます。
与え方は、セキセイインコは小さいスプーンに食餌をいれ、ヒナの口元に持っていきます。温度は生ぬるいより、少し熱めの方がよく食べられるようです。文鳥は、サシ餌用のヘラで、または育ての親(商品名)で、のどの奥まで入れてやります。
食事を与える時間は、最初は2時間毎が一応の目安ですが、小鳥の成長につれて少しずつ間隔をのばしていけばよいのです。小鳥が、ピーピー鳴き出したら与えるようにします。1回の量は、首のつけ根にある袋(?嚢)が膨らむまでが適当です。夜中は、暗くしておけば、早朝まで与える必要はありません。
孵化後1ヶ月近くになると、自分で食器の中やこぼれた食餌を、食べるようになりますので、適当に食餌をまいておき、このように仕向けていくことが肝心です。その後は、スプーンから与える食餌の量を少なくし、親鳥と同じ食餌に切り替えるように向けていきます。食餌を与える時は、手の上に乗せてやるように心がけ、与えた後も、手や肩に止まらせて遊んでやるようにすると、大変よくなつきます。

小鳥のおしゃべり

九官鳥やオウムは上手に教えると、しゃべれるようになるのが普通です。そのほかおしゃべりを覚えることができる鳥には、青帽子インコやオオバタンなどのオウム目の中型、大型の種類があります。
どこの小鳥屋さんでも手に入れることができる、オカメインコやセキセイインコでも鳥によっては言葉を覚え、おしゃべりができるようになります。東京にはオシャベリセキセイクラブなどもあり、言葉を教えて、楽しんでいます。
一般的に、手乗りのオスのほうが、上手に言葉を覚えることができるようになるようです。
しかし、鳥を購入する時は、普通は幼鳥を選ぶことになりますから、オスメスの区別は難しいので鳥屋さんによく相談してください。メスも言葉を覚えますが、オスより劣ることが多いようです。
教えるのによい時期は巣立ち後から約半年間くらいの若鳥の間です。巣立ち前の幼鳥を入手して、手乗りに育てながら、巣立ちして動作が一人前になったら、そろそろ言葉を教え始めます。
朝、水や餌を替えるときに、何回も何回も「ピーチャン、オハヨウ」などと鳥の名前を繰り返し呼んでやり、根気よく毎日続けると、そのうちその鳥のさえずりの中に、「ピーチャン」とか「ハヨー」のような言葉に似た発音が混じるようになります。こうなったらしめたもので、90%成功したといえます。 一度にいろいろな言葉を覚えさせようとしないことで、一語覚えたら、次の言葉というようにやっていくと、覚えるスピードもだんだん速くなっていきます。
セキセイインコでも、早いものでは数週間もしないうちに覚えるものもありますが、2ヶ月かかるものもあります。
「ポッポッポ、ハトポッポ・・・」と最後まで歌えるようになったり、玄関のチャイムが鳴ると「オトーサン オカエリナサイ」と人間より先に声をかけることができるようになるのもあります。
しかし、少し勉強を怠ると、言葉がくずれやすいので、長い言葉は、繰り返し繰り返し教えることが必要です。テープレコーダーを使うのも便利だと思います。
女性の声のほうが覚えやすいという説もありますが、はっきりしたことはわかっていません。 餌をやったり遊んだりしながら、根気よく教えてください。

小鳥の病気と家庭看護・日常管理

小鳥の洞炎(副鼻腔炎)

主に、副鼻腔が炎症を起こし、鼻汁を出したり、眼が潤んできたり、くしゃみが出たり、食欲や元気がなくなり、重症では、呼吸困難に陥り、食欲不振から死に至る病気です。
予防は、小鳥をすきま風のあたる所や、寒暖の差の大きい所で飼育しないことです。ビタミンAの多い適切な食餌管理がこの病気を少なくします。

鳥カイセン

セキセイインコ類に最も多く見られます。鳥の嘴や脚、総排泄腔(肛門)周囲の羽毛のないところにカイセン虫が寄生することが多く、寄生部位は硬くなり、白くカビが生えたようになり、痒がります。
予防は、鳥カゴを清潔に保つことと、カイセンの鳥との隔離です。カイセン症の治療は根気がいるものでしたが、最近ではとても良く効く薬が利用されるようになりましたので、獣医師にご相談ください。

卵塞

卵が、卵管を通過できない場合に起こります。いくつか卵を産んだが、まだ、腹部が大きいとか、腹を触れると硬いものが触れたりすることがあります。このような時は、一刻も早く、獣医師の指示を受けてください。

オウム病(ハト病)

オウム病は、鳥から人に感染する病気の中で、一番よく知られている病気です。鳥では、消化器と呼吸器をおかされますが、人では、呼吸器症状を主とするようです。
人間が、治りにくい風邪や異型肺炎等になった場合、人間の安全性のため、鳥がおかしかったとか、新しい鳥を購入した、最近鳥が死亡したといったことを、人間の主治医に告げて、参考にしてもらうことも場合によっては必要です。
鳥の診断も、人の診断も、通常の診療のみでは不十分で、血液や細胞も専門の機関で調べることが必要です。幸い、抗生物質のうち、テトラサイクリン類が良く効きます。
アメリカでは、インコ類すべて、45日以上テトラサイクリンを投与しないと輸入できず、また、卸売店の多くは、小売店に送る直前の15日間、テトラサイクリン類を投与しているようです。その結果、発生率が低下しているのです。実際的なオウム病予防は、アメリカの方法に準じたやり方を家庭で行なうのが一番よいでしょう。

そ嚢炎

小鳥が、うなずくような格好をして食べた餌を出す、首を左右に振って餌を飛ばす、頭にのりをうすくつけたように吐物がつき、ゴワゴワしているなどの症状の時は、そ嚢炎を起こしていることが多いものです。
しかし、求愛行動の一つとしてこの行動をしたり、全然別の病気である甲状腺種のこともありますから、よく観察すると同時に、餌水等が清潔であるかどうか、変わったものをかじったりしていないかをよくみて、早めに獣医師に相談するのがよいでしょう。

便から発見できる病気

小鳥は、尿と便を通常、同時に排泄します。“の”の字型に便が落ち、その上に白い点がつき、周りに少しぬれたところが出るのが普通です。尿だけの時は、白い点と水分だけのこともあります。
しかし、中心にある“の”の字型の便が異常を示すことがあります。周りの尿に溶けたような便、かわくと異常に細くなる便、黒すぎる便などは、すべて腸の異常を現わします。
元気のないときは、便の状態も合わせてみて、病気の早期発見に努めましょう。

骨折

小鳥の骨折は、いろいろな場合に起こります。鳥カゴごと落ちたり、放し飼いの場合、ガラスや、ドアにぶつかったり、ふんづけたり、などといろいろであり、部位も頭から足の先までいろいろです。
アルトマンという先生の報告では、小鳥の骨折の71%は、足根中足骨で起こるとのことです。やっぱり足が一番折れやすいようです。
片脚を使わなかったり、片翼を広げているほうの脚も注意してください。折れている足をかばって、翼を広げている場合も多いのです。自分でいじりまわして、内出血をひどくしたりしないうちに、動物病院で治療してもらいましょう。ギブスの応用や、手術で治療することができます。

腸炎

小鳥の便が、水っぽくなる、便の形がなくなる、ふやける、総排泄腔(肛門)の周囲が汚れるなどに気づいたら、それは腸炎からくる下痢です。原因はいろいろで、クニタチウイルスという死亡率の大変高いウイルスによる下痢もありますし、水を替えなかったため、水が腐っていたことによるなどということもあります。
できるだけカゴのまま、床を掃除せずに、一番新しい便を見られるようにして、病院へ連れて行くことが大切です。

卵管膿腫

卵管膿腫とは、難しくなりますが、専門的には、卵管壁の膿腫性変化と呼ばれる状態で、卵管が拡張しているものです。
しかし、一般的には、卵管が拡張し、何らかの内容物を含んでいるときに、用いられます。症状としては、卵性腹膜炎と同じように、おなかが柔らかくふくれてきますが、その大きさは、小さなものから大きなものまでさまざまです。
卵管およびその内側の変化が、主なものですから、手術による治療が可能です。卵管内には、白色ないし黄色の膿性物質、異常卵、石灰性沈着物、炭酸カルシウム結石などいろいろのものを含み、レントゲン撮影により、卵管内容物をはっきり診断することできる場合もあります。

卵性腹膜炎

卵黄が輸卵管内に入らず、腹腔内に入ることよって、起こる腹膜炎で、普通、卵巣から卵管へ卵がうまく入らなかったり、卵管が破れて卵が飛び出して起こるものです。
ほとんど症状を現わさずに死亡しているものから、腹部が徐々に大きくなり、呼吸困難、下痢などを起こしているものまでいろいろです。
卵づまりと異なる点は、おなかが柔らかくふくれていることです。レントゲン撮影は、診断の大きな手助けとなります。
治療は、早期に発見し、開腹手術をします。すでに腸が腹膜炎のために、広範な癒着をしている時は、治療が困難になってしまいます。
したがって、この病気の場合も早期発見が大切です。

小鳥のチェックポイント

❊まず、観察すること。
餌を食べる量が減る、またはぜんぜん食べない(つついていても、飲み込んでいないこともあるので注意すること)。
水を飲む量が増える。
便の状態、量、色が変わる。
尿の色(正常は白色)が、緑や黄色になり、水分が増える。
さえずらなくなる、しゃべらなくなる。
昼間でも丸くなって寝ている。
止まり木に止まっていても、フラフラする、下におりる。
❊手乗りの小鳥は、手にとって触ってみる。
胸の筋肉が落ちて丸みがなくなり、骨がごつごつとさわる。
指に止まると、握る力が弱くなる。

上記のような異常が見つかった場合には、明日まで様子をみてみようなどと考えていると、小鳥の場合、手遅れになってしまうことが多いものです。1時間でも早く、動物病院で診察してもらうことが、小鳥を助けるために大切なことです。

手乗りのかかりやすい病気

手乗りを飼うことや、育て上げるということは、生まれたばかりの子供を親代わりになって育てるのですから、難しい面があります。“手乗りの飼い方方程式”を参考にして、経験をつんでください。
さて、手乗りのかかりやすい病気はすべて、親鳥がいないことに原因があります。親鳥が暖めてくれませんから、体が冷え、腸炎、肺炎、気嚢炎、洞炎などになりやすく、また、親鳥が与える餌ではないので、温度は一定せず、栄養のバランスもくずれがちで、腸炎や栄養性二次性上皮小体亢進症(骨の異常)をおこすことが多くなります。また、空腹時に適切に餌を与えてもらえない場合も生じるので、体調をくずしてしまい、うまく育たなくなることもあるわけです。
それでは、親代わりのいろいろなやり方を教えましょう。この文を参考にして、おのおのの環境にあったやり方を工夫してください。
体温は、3羽以上を一緒に飼って、お互いの体温で暖めあっているのが一番よいようですが、厳寒期や、1羽しかいない時には湯たんぽ、電気アンカなどで、温度を加えてやります。
餌は、ムキアワのお湯にひたしたものが基本ですが、カルシウム、青菜、動物質のものを加えて与えるのがよいでしょう。
昔は、もちろん今でも一部の人々はやっていますが、手乗りの文鳥を育てるのに、アワ玉(アワと卵の意味、現在市販の“アワ玉”は、アワの玉ツブの意味で、卵が入っていないのがほとんど)を作って与えました。ムキアワに生卵黄を入れ、カルシウムを少し混ぜて、新聞紙の上に広げてよく乾かした本当のアワ玉は、今、考えてみると栄養学的にいっても、割合よかったのではないかと思います。

小鳥の薬の飲ませ方

小鳥に薬を飲ませるには、飲水に混ぜたり、粉薬の場合は、餌の上にふりかけたりしますが、小鳥の状態や好みにより、摂取量が一定しません。
九官鳥や、和鳥のようにすり餌を食べる鳥の場合、必ず食べる中心部に薬を混ぜます。他の鳥の場合は、軍手をはめ、そっと鳥をつかまえ(胸を圧迫しないように注意)、嘴の合わせ目から、スポイトや目薬のビンなどでしみこませます。どうしても飲み込まない場合、無理に嘴をこじ開ける必要はありません。嘴の先を指先でつついてやると上嘴が動いて、薬がしみこみます。このとき、頭をふって薬を飛ばさないように、眼の後ろ(耳の近く)をそっと持ってやるとうまくいきます。
どうしても薬を飲まない場合や確実に必要量を投与しなければならない場合は、病院で注射などの方法をとる以外に方法はありません。

退院後の注意

小鳥が退院した時は、家でのいつもの状態と異なることがよくあります。また、守ってもらわなければならないこともいくつかあるわけです。退院時に獣医師とよく相談して、事故の起こらないように注意しましょう。
帰宅後数日は、なるべく、そっとしておいてください。特に、手乗りに多いのですが、家族のみんなが、帰ってきた鳥をかまって、ついには過労になることがあります。
病後の回復期に、ボレー粉、砂、土などを、異常に多く食べることがあります。様子を見ながら、ごく少量ずつ与えるようにしましょう。
退院後1~2週間は、特に、注意深い観察が必要です。何か異常があったらただちに獣医師にご相談ください。

老年壮年病

人間はだれもが、いつまでも若くありたいと思いつつ、やがては壮年期、老年期と年をとっていくものですが、動物もまったく同じことが言えます。
飼鳥も高齢化に伴う疾病がいろいろあります。新陳代謝が低下し、各臓器が退縮することにより、いろいろな異常が起こってきます。
例えば羽毛のつやがなくなり、折れやすく、きれいにそろわず、また、トヤ(換羽)が不規則になったりします。眼は白内障になり白くにごったり、脚は角化が進み、また、爪が伸び、曲がってきます。動作は鈍くなり、餌をついばんだり、水を飲んだりする動作もゆっくりとなります。
老化現象とあきらめず、環境をなるべく変えないようにし、餌も良質のものをやるようにし、まめに手入れをしてやるだけでもずっと健康に、長生きできるものです。

小鳥の家庭看護

小鳥の病気の家庭看護となると、なかなか充分なことはしてやれませんが、小鳥の治療の50%は、保温と強制給餌といっても過言でないほどで、このような意味から、まず30℃に保温すること、砂糖水やハチミツを飲ませ、カロリーの補給をすることくらいは家庭看護として、また病院に連れて行く前のとりあえずの処置として、覚えておくと大変便利です。
小鳥の病気は、ほとんどが緊急疾患といえますので、家で様子を見たりしている時間は、あまりありません。すぐに、獣医師に診てもらわなければなりません。

小鳥の日常管理

小鳥は、大変神経の細かい動物で、手乗りの小鳥でも、急に捕まえたりすると強い恐怖感を与えてしまいます。少しでも心理的なストレスを与えるようなことは、避けなければなりません。特に、和鳥に対しては、細心の注意を払うべきです。
食餌は、なるべく新鮮なものを与えます。日常食べている食餌の量と水、便の量、動作などについて知っておくことは、病気の発見に大変役立ちます。
巣箱は、ケージ内の高いところに置き、食餌箱、水入れ、野菜などは糞が落ちてこないように、止まり木から離して置くような配慮も必要です。天気のよい日には、健康な鳥はよく水浴びをします。新鮮な水を入れてやりましょう。ただし、換羽期、厳寒期、雨の日などで鳥が嫌がる時に、無理に水をかけてやることはやめるべきです。水浴の直後に30~60分間、水濡れがかわく程度に、日光浴をさせるとよいでしょう。この時は、日射病にならないよう、鳥カゴの半分は、日陰を作っておきます。
ケージは、清潔に保つために時々洗ってやります。できれば同じケージを2つ用意して小鳥をうつしてから掃除するとよいでしょう。ケージを消毒する時は、熱湯消毒が手ごろな方法です。むやみに薬剤を用いるのは危険なことでやってはいけません。

1日の手入れ

朝:カゴを掃除する→水を取り替える、食餌を与える→水浴をさせる(小鳥の気持ちに任せる)
昼:日光浴をさせる
夜:ケージにカバーをする(取りは落ち着くと同時に冬は寒さを防ぐ)

産卵

産卵をさせる上で大切なことは、まず第一に仲のよい、健康なつがいを選ぶことです。ただオスとメスを同じカゴに入れたというだけでは、いかに肉体的に健康であっても、なかなかうまく巣引き(産卵し、ヒナが育つこと)してくれません。いきなり雌雄を同じカゴに一羽ずつ入れるようなことはせず、まず別々なカゴに一羽ずつ入れ、カゴを隣り合わせに置き、少しずつならしていく方がよいと思います。
次に、健康な雌雄を選ぶことですが、現在病気でないことはもちろん、過去に産卵や繁殖に影響およぼすような生殖器やホルモンの病気にかかっていないことも必要です。このような健康で、仲のよいつがいを選び、環境においてやらなければなりません。
それでは、よりよい環境とはどんな環境でしょう?まず、そのために適当な大きさのカゴが必要です。もちろんそのカゴは安心して抱卵でき、ヒナを育てることのできる静かな場所におきます。産卵に必要な高蛋白でカルシウムの多い餌(ボレー粉など)忘れずに与えておき、軟卵や産卵数の低下を予防します。また、鳥によっては栄養豊富な発情期(巣引きのための餌・粟卵など)を与えることが無性卵を予防し孵化率を上げるために必要です。
一度の産卵でセキセイインコや文鳥では毎日、または1日おきに通常4~9個の卵を産みます。卵を産み終わり抱卵を始めたら、あまりのぞき見をしたりしないほうがよいでしょう。抱卵日数(孵化日数)は小鳥によって異なり、卵が孵化すると、かすかなヒナ鳥の声が聞こえたり、親鳥のいつもと異なる落ち着かない様子でわかります。
さて、いよいよヒナがかえると、親鳥は、ヒナに日増しに大量の餌を、運び与えなければならなくなります。したがって栄養的にも消耗しやすく、この時期に与える餌は、より栄養価の高いものを与えるとともに、環境を清潔にしてやらなければなりません。やがて、日がたつにつれてヒナの泣き声は大きくなり、より多くの餌を要求するようになります。親は餌を運ぶのに、ますます忙しくなります。セキセイインコでは3週間、文鳥では2週間くらいで、巣の中からヒナ鳥の顔が見えるようになり、順調な場合およそ孵化後1ヶ月くらいで巣立ちます。

飼い鳥の種類

一般に鳥といっても鳥類は分類学上、9600種とも8900種ともいわれ、非常に種(species)が多様である。ここでは2目、7種、セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコ、ブンチョウ、ジュウシマツ、カナリアについて記載する。

目(Order)レベルでの相違点

例)外観上の形態
オウム目(セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコ) スズメ目(ブンチョウ、ジュウシマツ、カナリア)
嘴 カギ状 円錐状
肢 対肢足 三前肢足

種(Species)

例)解剖学上の形態
・セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコ→胆嚢がない
・ブンチョウ、ジュウシマツ、カナリア→胆嚢がある

品種(Subspecies)レベルでの相違点

例)雌雄の鑑別基準(セキセイインコの場合)
オパーリン、ノーマル ハルクイン、ルチノー、アルビノ
オス 蝋膜は青い 蝋膜はピンクから紫色である
メス 蝋膜は白から茶色でカサカサしている 蝋膜は白から茶色でカサカサしている
例)遺伝的脱羽(オカメインコの場合)
・ノーマル→頭頂部・冠羽の下に羽毛がある
・シロ→頭頂部・冠羽の下に羽毛がない

対象種の特徴

セキセイインコ(オウム目、インコ科)

原産地はオーストラリア全域で、体長18~23cm、体重30~35gの小型インコである。比較的乾燥した土地に群れで分布するため、飲水量が少なく、寒冷にも強く非常に丈夫で、巣引きもしやすい。幼若時に単独飼育ないし少数で飼育すると、多少の個体差はあるがヒトの言葉をたいへんよく覚える。スズメ目の鳥に比べると水浴を好まない。品種としてはオパーリン、ハルクイン、ルチノー、アルビノなどがあり、色彩豊かである。

ボタンインコ、コザクラインコ(オウム目、インコ科)

アフリカが原産地で、体長14~15cm、体重42~55gの小型インコである。あまり話すことを得意としない。陽気で声が大きく丈夫だが、やや臆病で神経質である。他種の鳥に対して攻撃的なことが多いので、同一ケージ内で混飼することはあまり勧められない。外観上で雌雄の判別は困難であるが、行動などからある程度雌雄を区別することが可能である。また、ボタンインコとコザクラインコでは繁殖行動に若干の違いがある。ルリコシボタン、キエリクロボタン、タイガーチェリー、ゴールデンチェリーなど品種も多く、色彩が美しい。

オカメインコ(オウム目、オウム科)

オーストラリアの乾燥した内陸に生息し、ペアあるいは数羽のグループ単位に集まり大群で漂行している。体長33~40cm、体重80~95gの小型インコである。1840年頃ヨーロッパに入り、日本には明治から大正時代に輸入されたといわれている。冠羽を有し、驚いた時などに立てる。シロオカメインコには頭頂部に無羽域があるのが正常である。性格は神経質だが、たいへん温和で、他のオウム目やスズメ目との同一ケージ内での飼育が可能である。ヒトにたいへんよく慣れ、少量の話をすることもできる。オカメインコのヒナでは一人餌への切り替えがやや難しい。品種としてナミオカメ、シロオカメが一般的だが、近年ではシナモン、パイド、パールなどの人気も高い。

ブンチョウ(スズメ目、カエデチョウ科)

アジア南部の熱帯からジャワの原産で、体長14cm、体重22~27gの小型鳥である。飼鳥としての歴史は古く、日本には江戸時代初期に中国から輸入されたものがペットとしての始まりである。別名ライスバードとも呼ばれ、現地では害鳥となることもある。やや、気が強いため、限られた場所での複数飼育は闘争を招くこともある。オウム目の鳥のように嘴でかじることはしないが、たいへん好奇心が旺盛である。外観上で性別はやや判別しにくいため、行動も併せて判断するとよい。輸入された野生種のブンチョウ(ナミ)からサクラブンチョウが作り出され、さらにそれからシロブンチョウが作られた。近年ではシナモンやシルバーなども作出されている。シロブンチョウは愛知県にある文鳥村で改良されたもので、世界に誇る品種である。

ジュウシマツ(スズメ目、カエデチョウ科)

江戸時代に中国から輸入されたコシジロキンパラに改良を重ね、家畜化したものと考えられている。したがって、ジュウシマツの野生種というものは存在しない。体長11~12cm、体重12~15gの小型鳥であり、性格が穏やかで身体が丈夫である。また、繁殖が非常にうまく、他のスズメ目の里親(仮母)に使われる。水浴がたいへん好きである。外観上の性別判断は困難だが、オスが特徴的行動をとるため、行動も併せて判断するとよい。品種はクロジュウシマツとチャジュウシマツからナミ、コブチ、シロ、ミケ、ハバナ、ゲイモノなどが作出された。

カナリア(スズメ目、アトリ科)

カナリア諸島、マディラ諸島、アゾレス諸島が原産地である。15世紀後半にヨーロッパで原種から品種改良が重ねられた。日本には200年前にオランダ人によってもたらされ、当時はたいへん高価であったといわれている。体長14cm、体重20~25gの小型鳥で、寒さには弱い。また、警戒心が強いためヒトに慣れにくく、飼育下での繁殖はやや難しい。羽毛やその色調、姿、鳴き声が美しい品種は大きく分けて、ナキカナリア、スタイルカナリア、カラーカナリアの3種がある。

形態的特徴

外皮系

・ケラチン質で被覆された嘴を有し、歯を欠く。
・皮膚は薄く、弾力がなく、汗腺を欠いている。
・羽毛は体重の10%を占め、80%以上が蛋白質で構成されている。また、羽域と無羽域があり、全身に羽毛があるわけではない。
・尾脂腺がある。これはビタミンDの供給源とされているが、明らかではない。分泌物が羽毛の維持と体温維持に関与している。

骨格系

・骨は気嚢と連絡した含気骨で、硬度はあるが、外力により骨折しやすい。
・胸椎、腰椎、仙椎は融合しているため、可動するのは頚椎と尾椎のみである。

消化器系

・食道が変化したそのうがある。食物の貯留と、ヒナを養育している鳥ではそのうミルクを産生する。
・胃は二つに分かれ、酸と消化酵素を分泌する腺胃と、食物をすりつぶす作用を持つ筋胃(砂嚢とも呼ばれる)がある。この作用を助けるためにグリッドと称される小さな石が筋胃の中に入っている。
・セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコには胆嚢はないが、ブンチョウ、ジュウシマツ、カナリアには胆嚢がある。
・盲腸は欠如している。
・鳥類特有の構造である総排泄腔は、大きく三つの領域に分けられ、①直腸からの糞洞と②尿管、精管、卵管が開口する尿洞と③糞洞と尿洞の共通の管腔である肛門洞からなる。

泌尿・生殖器系

・腎臓は3葉に分葉している。
・膀胱・尿道が欠如し、尿素のかわりに尿酸を排泄する。
・陰茎は欠如し、精巣は腹腔内に存在する。
・左の卵巣・卵管が発達し、子宮はない。

呼吸器系

・口蓋には大きく縦に裂けた後鼻孔があり、ここは鼻腔路・耳管の開口部となっている。
・喉頭蓋は欠如している。
・気管では完全な気管輪を有する。
・声帯が欠如し、鳴管がある。
・肺は不可動で、肺胞がない。
・複数の複雑な形態の気嚢を有する。
・横隔膜が痕跡的で、ほとんどない。

循環器系

・腎門脈がある。
・右頚静脈が発達している。
・リンパ節がほとんどない。
・有核赤血球をもつ。

感覚器系

・視覚、聴覚および平衡感覚は非常に発達している。
・嗅覚と味蕾がほとんどないために味覚は発達していない。

生理的特徴

飲水量

飲水量は主として原産生域地域に影響されるが、種あるいはその個体の状況や環境によっても異なり、一般に体重の10~20%といわれている。しかし、特にセキセイインコの飲水量は少ない。

寿命

寿命は飼養管理、特に給餌内容により大きく変動するといわれている。オウム科の鳥は体が大きくなるほど寿命も長いといわれ、セキセイインコでは20歳、オカメインコだと23歳以上の個体も存在している。ブンチョウだと10~15歳、ジュウシマツだと7~10歳、カナリアは10~15歳くらいであるが色揚げ剤投与(高脂肪食給餌)のために内臓のダメージが大きく、4~6歳で死亡する個体が多いようである。

体温

体温は42~43℃で非常に高く、早い代謝機能を有する。

換羽

羽毛の機能は飛翔、体温調節、性的誘因および身体保護であるが、その羽毛が新しい羽に置き換わることをいう。野生下ではある程度、規則的に起こる。生後3~8ヵ月で第1回目の換羽が起こる。成鳥の換羽の時期、回数、期間、間隔などは、飼育下では栄養、温度、湿度、日照時間などの環境によって左右されるが、少なくとも年1回以上は起こる。一般にセキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコといったオウム目の鳥は1年を通して換羽するが、ブンチョウ、ジュウシマツ、カナリアといったスズメ目の鳥は5月~10月頃に行うことが多いとされる。
換羽時は代謝率が増加し、体力が消耗するため、栄養要求量が増し、ストレス増加に伴い病原菌に対する感受性が増大する。また、この時期は活動やさえずりが減少することがある。さらに、筆毛(Pin Feather)の羽鞘を取り除くために羽づくろいが多くなり、そのために羽鞘のカスが散乱しやすくなる。これらの行動や状態を病的なものと区別することが必要である。また、筆毛は非常に血液に富んでいるため、この羽の損傷は著しい出血を引き起こすので注意が必要である。

呼吸様式の違い

鳥類は飛翔するために、複雑で独特の呼吸系を有する。横隔膜はなく、呼吸は肋間筋および腹筋の作用によって複数の気嚢を収縮させることで行う。肺は小さく、胸部の背壁に堅く固定され、空気と血液間のガス交換のみを行っている。そのため、呼吸器症状を呈している病鳥の保定には細心の注意を払わなければならない。

繁殖

繁殖とヒナの成長の目安

  発情時期 繁殖回数 産卵数 抱卵時期 巣立ち 性成熟 初回換羽
セキセイインコ 年中 3~4回 5~7個(1日おき) 17~20日 28~32日 6~7ヵ月 3~4ヵ月
ボタンインコ 年中 3~4回 4~6個(1日おき) 23日 35~40日 6ヵ月~1年以上 4ヵ月くらい
オカメインコ 年中 1~2回 4~7個(1日おき) 22~23日 35~45日 6~9ヵ月 6ヵ月以上
ブンチョウ 9~6月 1回 5~6個(毎日1個) 16~18日 25~30日 7~8ヵ月 4~6ヵ月
ジュウシマツ 年中 1~3回 4~7個(毎日1個) 14日 22~25日 3~4ヵ月 3ヵ月
カナリア 2~7月 3~4回 4~6個(毎日1個) 14日 20~21日 6ヵ月 3ヵ月

できるだけ年に1~2回の繁殖回数となるようにする。繁殖個体の年齢や状態などによるが、繁殖回数が多いと母体の疲労などが重なり、疾病(特に繁殖障害)に罹りやすくなる。また、発情期は同じ鳥種でも日照時間、温度、湿度または栄養状態によって大きく異なることがある。

性別の見分け方

セキセイインコ

【オス】蝋膜が濃い青から淡い青、肉食でツヤツヤ、生理的嘔吐がある
【メス】蝋膜が白から茶、ガサガサ、虹彩を絞り、尾羽を挙げる

オカメインコ

【オス】下尾筒が無地、頬のオレンジが濃い、ホイヨ・ホイヨ、ピー・ピーとよく鳴く
【メス】下尾筒が横縞、頬のオレンジが薄い、ピー・ピーと一声ずつ大きく鳴く

コザクラインコ(ボタンインコ)

【オス】骨盤および骨盤と竜骨の幅が狭い
【メス】骨盤および骨盤と竜骨の幅が広い、紙を細長く切り腰部の羽毛に挟む

ブンチョウ

【オス】嘴が大きく赤色が濃い、止まり木でピョンピョン跳ねながらさえずる
【メス】嘴が大きく赤色が淡い、尾を左右に振り、チュン・チュン鳴く

ジュウシマツ

【オス】外見上見分けはつかない、ピーッ・ピーッと一声ずつ高い声で鳴く、木の上で身体を膨らませジュクジュクと鳴き、尾を挙げてダンスをする
【メス】外見上見分けはつかない、ジュリ・ジュリと曇った低い声で鳴く

カナリア

【オス】肛門の突出あり(繁殖期に著しい)、甲高い声で鳴く、のどを膨らませて静かに鳴く(ぐぜり)
【メス】肛門の突出なし、時折、ピー・ピーと鳴く

病的異常と見誤りやすい状態と行動

羽毛
換羽期の脱羽、無羽域、新生羽(筆毛)、羽づくろい行動とそれに伴う羽鞘の剥離
繁殖
求愛(特にオス)・育雛行動としての餌の吐出、腹部の抱卵斑(メスで抱卵時にみられる脱羽域)、蝋膜の色調の変化(発情時のメスは白色から茶色に変わる)、発情期の大型のゆるい糞(メス)、背中を反らして動かなくなる交尾姿勢(メス)、カゴの底でうずくまる行動(メス)など。
糞便
下痢便と間違えやすい多尿便(オウム目では糞の周囲に水分がにじまないのが普通であるが、フィンチ類はにじんでいても異常ではない)。
皮膚
チアノーゼに似た外被色(青色の羽毛をもつインコの脚は青色を呈する)。
鳴声
くしゃみを真似た鳴き声。
その他
腰部から尾羽(上尾筒)の基部に尾脂腺があるが、腫瘍と間違えて来院するケースが多い。筋胃にはグリッド(砂など)が入っているが、X線で異常所見と判断するケースがある。

飼育に必要な用品

止まり木

鳥種に合った太さを選ぶ。また、自然木を利用して太さに強弱をつけ、肢にかかる負担を軽減させることもよい。

餌入れ・水入れ

通常の市販されているものでよいが、複数の鳥がいる場合や汚染が著しい場合などは自動給水器や自動給餌器を利用するのもよい。しかし、ブンチョウ、ジュウシマツ、カナリアは水浴を好むので、やや大きめの水入れなども用意したほうがよい。

ボレー粉入れ

菜さし

鳥種に合ったものを繁殖期のみ入れる。セキセイインコやオカメインコには各々専用の巣箱、ブンチョウにはツボ巣、カナリアには皿巣を用いる。巣は一年中入れっぱなしにせず、繁殖を目的とした時のみ入れる。

飼育方法

屋内飼育

一般には金属製の鳥かごを用いると衛生面ではたいへんよい。また、カゴの大きさは鳥種・羽数により変わるが、運動不足を考慮して羽ばたきが出来るように大きめのものがよい。高さより奥行きや幅が広いほうが有意義である。スノコガあると衛生的である。
ブンチョウ、ジュウシマツ、特にカナリアの繁殖を希望する場合は“庭箱”を用いることが望ましいしかし、これは巣引き優先の鳥カゴのため観賞用には適さない。
止まり木は運動を制限しないよう間隔を取って2本以上平行に段違いでつける。
置き場所は、1日のうちであまり温度変化のない場所を心がけ、床に直接置くことは好ましくない。特に繁殖を望む場合はケージの場所をあまり動かさないほうがよい。
日光浴は周に4~12時間くらい行うことが望ましい。温度は、ヒトが快適に暮らせる程度であればそれほど支障はないが、急激な温度変化に気をつける。また、カナリアは温度変化や低温に弱い。

屋外飼育

屋外の禽舎で飼育する場合は、夏に風通しがよく、冬は日当たりがよい東から南向きとし、北風や西日が直接あたらないような工夫が必要である。また、雨・風のために場所や冬季対策は必要である。外敵に対する安全性や衛生面を考えると、禽舎下の周囲はブロック、床はコンクリートが望ましい。飼育環境として禽舎内に生木を植えることが望ましいが、セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコはかじりついて枯らしてしまうため、枯れ木等を利用した環境作りをするとよい。
繁殖をさせたい時のみに鳥種に合った巣箱を入れ、その数はペアの数より多めとする。
広い禽舎なら、数種の鳥を同居させることが可能だが、できればボタンインコ、コザクラインコと他の種類との同居は避けることが望ましい。

日常の管理と掃除

日常の管理

決まった時間に世話をすることが大切であり、殻付き餌は毎日殻を取り除き、2~3日ですべて食べきれる猟を入れ、栄養の偏りがないようにする。水は毎日1回以上交換し、梅雨や夏など汚れが著しい時は2回以上行う。餌入れ・水入れは糞などで汚れないよう、止まり木の下を避け、飲みやすく交換しやすい場所に置く。ボレー粉は7~14日くらいで入れかえる。青菜はできるだけ毎日与える。

掃除

カゴ飼いの場合、ケージの底受けやトレイを清掃し、カゴ全体は1~2週間に一度くらいは水洗い等をして日光消毒するとよい。屋外の場合、床には砂などを敷くとよいが、年に数回は入れ替えを行う。また、衛生面からいえば床はコンクリートにして水洗いできると便利である。

ジュウシマツからオカメインコまで一般には小型鳥であり、餌はほぼ共通でよい。

主食

殻付き混合(アワ、ヒエ、キビ、カナリアシード)を与える。アサの実、ヒマワリはボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコにとって嗜好性は良いが、脂肪含有量が多いため、給与する場合はおやつ程度にとどめるべきである。
ペレットは、最近いろいろのメーカーから小鳥用のものが市販されている。ペレット単味での飼育が可能であり、微量成分(元素)を含め、一口でバランスよく栄養がとれる。一般には蛋白質11~15%、脂肪4~8%を目安にする。さらに、病状や症状などに応じて蛋白や脂肪分など含有成分量の違いによりペレットの種類を選択することができる利点がある。シード類に比較すると嗜好性が低いことが欠点ではあるが、メーカーを変えたり給与時間や形態に変化を持たせ、少しでも食べるように仕向けていくべきである。

副食

ボレー粉、カトルボーンはカルシウム源として必要不可欠だが、ボレー粉には着色料の添加されたものが多いので気をつけたい。できれば、無着色のものであっても何回か洗ってから使用するとよい。カルシウム源としては卵殻でもよいが、サルモネラ感染の危険性があるので、煮沸・過熱して用いるとよい。
グリッドとしては、よく水洗いして消毒した川砂や海砂がミネラル補給も兼ねており、適している。しかし、グリッド自体に石灰石や胃酸中で溶解するような貝殻を添加して与えることがあるが、これはかえって過剰のミネラルを摂取する危険はあり、カルシウム過剰や吸収障害、腎障害などを誘発する。また市販のグリッドには木炭が添加されているものもあるが、木炭の吸着作用によって栄養素の吸収が阻害され、ビタミンA、B2、Kの欠乏症となることがあるので注意が必要である。
最近の塩土は質が悪くなってきているといわれ、床に置きっぱなし等のため不衛生になりやすく、また、食べすぎを含め病気との関連も指摘されているのでできるだけ控えたい。

青菜

鳥にとってビタミンAが一番必要といわれているため、緑黄色野菜を与えることが望ましい。

その他

栄養剤を含めた種々の人工的に作られた商品が売られているが、必ずその使用期限や成分とその含有量を確認のうえ、給与すべきである。
カナリアについては「色揚げ剤」の使用の是非がいわれているが,内臓障害を起こしやすいためできるだけ控えるよう心がける。色揚げ剤を給与する場合は、換羽の時期のみと限定すべきである。また、市販の「カナリアの餌」にはエゴマ、ナタネ、ニガーシードなど脂肪分の多い種子が多量に含有されている。本来は動物性蛋白を摂食する鳥であるが、その栄養分が入手しやすく手軽な(上述した脂肪分の多い)種子に置き換わってしまってきている歴史がある。そのため、カナリアの疾病には代謝障害や内臓障害が後を絶たない。季節や時期によって餌の栄養成分を多少変化させることが望ましい。
冬季にはやや脂肪分の多い給餌がよく、キビやカナリアシードの量を増やす。ただし、カナリアシードは嗜好性がよいため過食の傾向があり、冬季の屋外飼育でも全体の20%以下に留めた方がよい。 繁殖期・換羽期には通常の生活期の2倍の蛋白量が必要だといわれている。蛋白質は種子からだと摂取しづらいので、高エネルギータイプのペレットの使用が望ましい。その他、燕麦(えんばく)、大麦、小麦、蕎麦(そば)など嗜好性のよいものをやや追加することもよい。

ヒナおよび若鳥について

ヒナには2種のタイプがあり、ニワトリやアヒルのような孵化時より綿羽が生えてすぐに走り回り自主採食できる早成性と、発育の早い時期に孵化し、閉眼状態で羽毛が生えていないかあるいは綿羽に覆われて、立てない状態で生まれてくる晩成性がある。セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコ、ブンチョウ、ジュウシマツはすべて晩成性のタイプである。
コンパニオンバードとして「手乗り鳥」が非常に人気があるが、これは孵化後2~6週の間に親より離し、人の手で育てることにより良きパートナーとなり得る。しかし、逆にこの時期は急速な成長期であり、さしえによる給餌から自主採食への移行期でもある。また、移行免疫が消失する時期ともちょうど重なる。この時期の飼養管理、特に栄養や管理温湿度には細心の注意を払うべきである。来院する多くの鳥がこの時期のヒナや若鳥である。また、カナリアやジュウシマツは個体的に小さかったり、やや神経質で弱いなどの理由からあまり手乗りとして向かないが、手乗りになる成功例も数多い。
さしえの給餌回数は2週齢ぐらいのヒナでは、ブンチョウなら1日あたり3~4回、セキセイインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、オカメインコなら2~3回以上のさしえが必要である。1回のさしえの量はヒナが口を開かなくなるまでであるが、一般的には頭約ひとつ分そのうが膨れる程度(体重の10%くらい)を目安に給餌する。このときの注意として、必ずそのう内容を確認してそのうが空になってから給餌することがポイントである。成長するに伴い徐々に給餌の回数を減少させ、盛んにケージの中で翼をばたつかせ飛ぶ練習をし始めたり、自主採食の徴候がみられる頃には1~2回ぐらいとする。また、ヒナから巣立ち前のこの頃までが日増しに体重が増加する時期であり、ピーク時には成鳥よりも体重が重くなる。その後、飛翔に適した身体となり、そのう内容が減り、体重はやや減少する。この時期に成鳥と同様の平均体重となり、本来なら巣立ちとなる。飛ぶことが可能となる頃までに給餌を1日0~1回程度に減少させ、できるだけ早期に乾いた餌に切り替えることが望ましい。この時期に餌の切り替えをスムーズに行うことができないと、通常食に切り替えるのに非常に多くの日数を要してしまうことになり、また、各種疾病も多くなる。 さしえの栄養に関して、ムキアワに卵黄(動物性蛋白)を入れて、煮沸消毒後、青菜(ビタミン)を擦り、ボレー粉または卵の殻(カルシウム、ミネラル)を少量添加して与えるべきである。また、最近では数社からヒナ用のパウダーフードが市販されており、これらを応用するのもよい。
急激な成長期に「アワダマとお湯」だけの給餌が多いため、いまだに栄養性疾病が後を絶たないのが現状である。アワダマは炭水化物のため、ビタミンB1の消費量が増して欠乏症に罹りやすい。したがってこの時期、ビタミンB1欠乏に起因する疾病である栄養性脚弱、いわゆる「脚気」が多発する。また、ビタミンAの欠乏は皮膚や粘膜の免疫力を低下させるため、呼吸器感染や下痢などの誘因となる。カルシウムの欠乏、あるいはリンとの不均衡は「甲状腺機能低下症」やホルモン分泌低下につながり、身体や脳の発育を遅延させ、離乳期を遅らせる結果となる。
これらの栄養障害や育雛失宜、その他の原因が重なりが非常に多いため、その治療や看護は総合的に検討していくことが必須である。この時期にケージから出して遊ばせる時間が長いと自主採食を覚えることより飛んだり、遊んだりすることのほうが主体となり、離乳期を遅らせることになるので注意を要する。離乳に際しては、親から離した2週齢くらいのヒナを後述する看護法と同様に飼育し、温度は30~32℃くらいから徐々に下げるようにして、床にえさをまき、自主採食を促すようにする。

禁忌

外用薬としての軟膏、クリーム、油性製剤は、体羽を汚染させたり、保温効果を著しく低下させるため、それらの使用を避ける。また、体羽の洗浄は行わない。
刺激臭など臭気の強い薬剤は使用しない。